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» 2017年05月09日 10時44分 UPDATE

抗生物質の探索:感染危機 薬が効かない:微生物ハンター「まるでばくち」 (1/3)

“微生物ハンター”は、猛威を振るう耐性菌に効く薬を開発するため、誰も採ったことのない微生物を探している。

[産経新聞]
産経新聞

 亜熱帯植物が生い茂る沖縄本島の山の斜面で、帝京大准教授の浜本洋(41)はスコップを振るっていた。小雨が降る1月は沖縄でもやや肌寒いが、浜本は気にする様子もない。車で山道を分け入り、採取した土を樹脂製のケースに保存していった。平成20年のことだ。

 浜本は抗生物質を作り出す未知の微生物を探す“微生物ハンター”だ。猛威を振るう耐性菌に効く薬を開発するため、誰も採ったことのない微生物を求め、コンクリートの下の土など困難な場所にも、採取の手を伸ばした。

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 浜本の採取旅行は全国約700カ所におよび、約1万5千株の細菌を分離。当時在籍していた東大で治療効果を測定し、候補を23株に絞り込んだ。しかし、生成した物質の構造を調べると、既知のものばかり。次々と候補が消えたが、21年秋、ある細菌が作り出す物質が、全く新しい構造を持つことを突き止めた。抗菌薬候補「ライソシンE」の発見だ。

 抗菌薬の多くは細菌を取り囲む細胞壁を壊すことで効果を発揮する。一方、ライソシンEは従来とは異なる分子を標的に、内側の細胞膜を破壊する新しいメカニズムを持つ。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を1分で99.99%殺傷する力があり、実用化に向けた開発が進んでいる。

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