浅田真央が引退したのに、なぜキム・ヨナはノーコメントなのか赤坂8丁目発 スポーツ246(3/3 ページ)

» 2017年05月12日 12時47分 公開
[臼北信行ITmedia]
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本音を言えないのかもしれない

 大統領選挙の末、慰安婦問題日韓合意の見直しを示唆している文在寅(ムン・ジェイン)大統領が就任するなど韓国と日本との関係は決して良好とは言えない。そんな韓国国内で「国民の妹」と呼ばれるスーパースターのキム・ヨナさんが、日本の国民的ヒロイン・浅田さんにメッセージを送れば何らかの反発が出てくることは容易に想像がつく。韓国国内の強硬派を大きく刺激することにもなりかねない。しかも彼女は開催まで1年を切った2018年の平昌(ピョンチャン)五輪の広報大使も務めているので、国内で波紋を広げるような軽率な行動は極力差し控えたいところだろう。

 「本当はキム・ヨナ自身が浅田の引退について何らかのメッセージを発信しようとしていたとの情報もある。だが結局は政府関係者や側近たちのアドバイスもあって、回避したとも聞く。それにバンクーバー五輪以降、ほとんど会話をしなくなったのも韓国国民向けに仲が悪いように見せるためにキム・ヨナ側があえて浅田と距離を置くように心がけ、自身に反日の心が強いことを“演出”していたフシもあるようだ。彼女には、かなりしたたかなところもある」と日本スケート連盟(JSF)関係者は邪推する。

 思えば浅田さんが引退表明を行った際、そのニュースを大きく取り上げた韓国メディア各社は一貫して「日本の国民的ヒロインは韓国のスター、キム・ヨナを超えられなかった」などと辛口な報道ばかりだった。そういう偏重な報道が続く流れの中では、もしかしたらキム・ヨナさんも韓国国内で生きていく以上、内に秘めている本音を表に出すことが難しくなっているのかもしれない。

臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:

 国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。

 野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2017年第4回まで全大会)やサッカーW杯(1998年フランス、2002年日韓共催、2006年ドイツ、2010年南アフリカ、2016年ブラジル)、五輪(2004年アテネ、2008年北京、2017年リオ)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。


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