近年増えている“6月病”とは?精神科医に聞く(2/4 ページ)

» 2017年05月22日 12時00分 公開
[鈴木亮平ITmedia]

5月病と6月病

――まず、「5月病」とは何か。改めて教えていただけますか。

勝院長: 5月病はもともと、60年代にマスメディアが作り出した言葉です。当時は、受験勉強を頑張ってきた真面目な学生が入学後に燃え尽きて目標を失ってしまう、あるいは、思い描いていた理想と現実のギャップに悩むことで5月くらいに学校を休みがちになってしまう現象のことを指していました。

 その5月病という概念が、「就職」「転職」「異動」などで変化した新しい環境に適応できない社会人に対しても使われるようになったわけです。

 4月は学生だけではなく、社会人にとって環境が変わることが多い時期。4月はまだ我慢ができても、5月の連休の反動で疲れ(症状)が一気に出てしまうケースが多いのです。

 この5月病を正式な病名に直すと「適応障害」ということになります。適応障害は「(仕事などに対して)不安が強くなる」「無気力になる」「お酒の量が急に増えたり、怒りっぽくなる」などの特徴があります。また、主に「真面目」「完璧主義」「プライドが高い」といった要素のある人が疾患に陥りやすいと考えられています。

――「5月病」だけでなく「6月病」という言葉もあるそうですね。「6月病」とは何のことでしょうか。

勝院長: 4月からの抱えていたストレス状態が続き、なかなかそのストレスを断ち切れない人が6月に「うつ病」になるというケースがあります。それが6月病です。5月病(適応障害)は急性疾患によるものですが、6月病(うつ病)は慢性疾患。慢性的にストレスを抱えることによって起こります。近年こうしたケースがよく見られるようになりました。

 6月病の一歩手前である5月病の段階で適切に対処し、ストレスを解放できればいいのですが、それができすに我慢してストレス状態を放置すると6月頃に心の糸が切れてしまうのです。

 結果、精神状態がボロボロになり、職場への復帰が困難になってしまいます。できるだけ早くストレスを断ち切る(解消する)ことが大切なのです。

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