ダイハツは軽自動車の基幹車種、ミラ イースを5月9日にモデルチェンジした。これに先立つ3月16日にダイハツはブランドの再定義についての記者会見を行い、トヨタの完全子会社になって以降のダイハツのあり方を発表した。
ダイハツの三井正則社長は会見の中で「お客さまに寄り添う、つまりユーザーオリエンテッドな姿勢は、1957年のミゼットから続くダイハツならではの原点であります。この原点を忘れることなく、1ミリ、1グラム、1円にこだわり抜き、今後も軽および軽直上のコンパクトカーを含めたスモールカー市場にダイハツらしい商品を供給し続けてまいります」とダイハツの役割を定義した。
併せて、2016年1月の完全子会社化の記者会見でキーワードとして語られながらも子細が分からず、ようやくコンセプトが発表されたのがDNGA(ダイハツ・ニュー・グロバル・アーキテクチャー)だ。
DNGAはトヨタのTNGAに倣うダイハツの新しいクルマ作りであり、2020年の東京オリンピックまでにはDNGA世代の新型車をデビューさせるとした。完全子会社化およびリブランディングの発表タイミングから見て、今回のミラ イースはDNGA世代というわけではない。
DNGAというキーワードが出て以降、筆者は数度にわたってダイハツに探りを入れてきたが、彼らは今年の初めから新世代ダイハツのコンセプトを練り直し、3月の発表に漕ぎ着けたように見える。つまり、あらかじめ水面下でDNGAのコンセプトが進行していた気配は感じられなかった。
しかしながら、新型ミラ イースの広報資料を見る限り、ダイハツはDNGAを強く打ち出しており、少なくとも自ら変化を推進しようとするダイハツの意気込みは見ることができる。一般論として、リブランディングにおいて、これまでの業績や方向性とまったく違う軸が据えられることはない。未来の指針は、過去の肯定と否定とを両輪にしつつ作られるものである。凄まじい勢いで変化し続ける時代の中で翻弄(ほんろう)されつつも、必死に未来を模索する日本企業の姿を筆者はそこに見るのである。
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