「新しい環境に慣れない。思い描いてた未来と違う」――昔から5月はメンタル不調を起こしやすいといわれてきた。しかし近年、6月にメンタル不調を起こす“6月病”に陥る社員が増えているという。本連載では、6月病の正体と、それに立ち向うためのヒントを探る。
つらいことがあっても、すぐに立ち直って元気になる。そんな人になれたら……と考えたことがある人は多いだろう。近年、ストレスや逆境を克服する力「レジリエンス」があらためて注目を集めている。6月病を引き起こさないためにも、自分の力を高めて予防することは有効な手段だ。レジリエンスを高めるにはどうしたらいいのだろうか。企業向けにカウンセリングや研修などを手掛ける会社に聞いた。
レジリエンスは、「回復力」「復元力」などという意味を表す言葉。メンタルヘルスの分野では、「逆境でも折れない、しなやかな心の強さ」といった意味合いで使われ、長年研究されてきた。特に米国で研究が進んでおり、欧米のグローバル企業が人材育成に取り入れている事例も多い。日本では、東日本大震災以降、心のケアという観点でレジリエンスという言葉がよく聞かれるようになった。
企業向けに従業員のカウンセリングサービスなどを提供するヒューマン・フロンティア(東京都港区)によると、企業のメンタルヘルス対策としてもレジリエンスに対する関心は高まっている。
2000年以降、メンタル不調による休職が増加し、現在では長期休職の7割がメンタル不調によるものだという。対策を講じている大企業でも、メンタル不調者の数は高止まりしており、減らない状態にある。
そのような問題を解決するための方法として、メンタル不調を事前に防ぐ「一次予防」の必要性が認知されつつある。ヒューマン・フロンティアの神沢裕社長は「会社として高ストレス環境をなくすだけでなく、個人のタフネスを高めることも必要になっている。そこまで対処しないと、メンタル不調は減っていかない」と話す。
同社は、入社3年以内の若手を対象としたレジリエンストレーニングの研修を提供してきたが、16年末に全ての年齢層に対象を拡大。新入社員だけでなく、プレッシャーや責任が重くなる世代にこそ必要だと判断した。
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