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» 2017年05月26日 13時30分 UPDATE

「キントーン」広告に反響大:改革で現場はため息? ネットで話題「働き方広告」の意図 (1/2)

「ノー残業、楽勝! 予算達成しなくていいからね」――現場からの声を取り上げた「キントーン」の広告がネットで話題に。果たしてその意図とは?

[サイボウズ式]
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 「新しい価値を生み出すチーム」のための、コラボレーションとITの情報サイト「サイボウズ式」の記事を、ITmedia ビジネスオンライン編集部が一部抜粋・編集して掲載しています。

 本記事は、サイボウズ式の「働き方を変えたいなら、まず経営者が予算達成をあきらめろ!ネットで話題の広告が問う、画一的な日本の働き方改革」から転載しました。


 5月12日、あるTwitterユーザーのつぶやきが話題になりました。それはサイボウズの「キントーン」の広告を取り上げたもの。

  「ノー残業、楽勝! 予算達成しなくていいからね」「さようなら深夜残業。こんにちは早朝出勤。(苦笑)」「結果出せおじさんと、早く帰れおじさん…ふぅ…(ため息)」「労働時間削減、結局現場にムチャぶりですか?」――いま日本で進行している働き方改革について、現場からの声を取り上げたとされるこの広告。果たしてその意図とは一体何なのでしょうか?

 広告制作を担当した山田幸氏と青野慶久社長を、サイボウズ式編集部の大槻幸夫が取材しました。

広告に「働き方改革」という言葉は使いたくなかった

青野: 東京駅などに出したキントーンの広告の反響がすごいですね! 私のFacebookでもフォロワーからの反応がとても多いです。Togetterを皮切りに、BuzzFeedなどのネットメディアでもたくさん取り上げられていますね。

東京駅などに出されたキントーンの広告

山田: 反響の大きさに、私も驚いているところです(笑)。

青野: 事前に原稿を見せてもらった時には、ここまで拡散すると予測はできなかった。「よく言った!」とお褒めいただけるとは、思いもよらなかったなぁ。

山田: 最初は「働き方改革をするのに教科書なんてないんです」みたいな硬い表現だったんですけど、「働き方改革」という言葉を使いたくなくて。現場の人がつい漏らすような言葉にしました。

――SNSの反響を見ていても、「勤め先には『持ち帰れ』おじさんがいます」「ほんまこれ」「ノー残業で帰れ帰れいわれるたびに思ってた!」「このポスター、うちにも貼りに来てくれませんかね!? 」といった共感の声が多いですね。拡散元となったTwitterのつぶやきで「上司にお使いください」と書かれていたけど、それは想定してましたか?

山田: 私たちの意図としては「上司に期待するんじゃなくて、キントーンなどのITツールを導入して自分たちで働き方改革していこう、上に期待していないで自分たちで行動していこう」という流れになるとうれしいです。

青野: まだ道半ばだね(笑)。

山田: 確かに。

青野: 厚生労働省が動き始めているから経営者は臆病になって、とにかく早く帰らせないと今度は自分の番かもと思っている。そのゆがみがいま現場に降りて来てるから、広告タイミングが合ったということなのかもしれない。

――でも、SNSでは「そこはツールじゃないだろ」とつぶやいている人もいました。その辺りはどう思います?

山田: 働き方改革はツールだけじゃなくルールも重要なので、表現ではあえて「ルールだけじゃなく」としているんです。

 逆にツールだけあっても何もできないし、ツールを入れれば働き方改革って思われても困ってしまうので、ルールと合わせてツールを活用してほしいという思いがあります。

――青野さんはいかがですか?

青野: サイボウズの中でキントーンを使いこなしている環境からすると、もし「メールとExcelで働け」と言われたら、それは無理って思うよね(笑)。それがどれくらい非効率かということは、新しいツールを使っている人でないとなかなか分かってもらえないのかも。

青野 慶久(あおの よしひさ)。サイボウズ株式会社代表取締役社長

山田: 生産性が激しく下がりますね。

青野: そう。だから、ツールの選択って生産性に直結するよね。例えば、インターネットが無かった頃の調べ物の生産性とは全然違う。ツールが生産性をあげるという事を日本の企業はもっと認識していい。日本の経営者はITが苦手な人が多いから、投資せずいつも後手後手になっちゃう。

山田: 精神論でなんとかしよう、とか。

青野: そうそう。

日本の働き方改革は画一的

――SNSでは「一律でノー残業デーって本当に勘弁して欲しい」「仕事量の調節ができない仕事だとムチャ振り以外の何物でもない」といった反応もありました。働き方改革が画一的というところに目を向けている声があったんですけど、その辺りはいかがですか?

青野: まさに! 過剰な残業を無くすことは重要な一方で、やる気失う人たちも出てくるんだよと。いまベンチャー立ち上げて夢持ってやるぞって言ってる人に、これから日本は20時以降働いちゃダメですって言われた瞬間に「えーっ!」てなると思う。

山田: なるほど。

青野: ずっと言ってるのは「多様性」の大切さ。体を壊したり精神を破壊されたりということが悪いのであって、「時間が長いから悪い」というのは本質的ではないはずなんだよね。そこは多様性を持って見ていかないといけない。いろいろな人がいて、いろいろな職種があって、いろいろなモチベーションで動いているんだから選択できる。

山田: そこにはツールも根深く関係してくるということなんでしょうか?

青野: 多様性を受け入れるためにはツールのインフラがないと実現が難しいよね。働く場所1つ取ってみても、みんなが一カ所に集まって働くっていうことから抜けられないですよね。

――青野さんは日本各地で経営者に働き方改革について講演されていますが、「ツールが無いと多様な働き方の実現は難しい」という意見への反応はいかがですか?

青野: まだピンと来て無い感じですね。ようやく歯車は動いた感じはあるんだけど、「残業時間削減」だけにフォーカスが当たっている。多様性をうまく引き出していくことがイノベーションにつながっていく、という話をするけど、なかなか共感してもらえないのが実態です。

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