“デジタル化”を意識しない人は出世できない有識者に聞く(2/4 ページ)

» 2017年06月02日 06時00分 公開
[鈴木亮平ITmedia]

生き残るために必要なDX

――DXの取り組みが加速している業界・分野について教えてください。

中村: 既にグローバルでの競争環境にさらされている業界ほど進んでいます。特に自動車の分野は進んでいますね。グローバルでの競争が厳しいですから、DXを進めなければ生き残れない状況にあります。自動車メーカーが「コネクテッドカーも自動運転もやりません」というスタンスだったら、すぐに新興勢力に負けてしまいますよね。

 また銀行も、新興勢力に対しての危機感をもっていることから、DXの取り組みに積極的です。例えば、三菱東京UFJ銀行はフィンテックに特化したビジネスコンテスト「Fintech Challenge」を2015年から開催しているほか、みずほ銀行もフィンテックを活用した新しい融資サービスの提供を目的にソフトバンクと合弁会社を設立しました。新興勢力に主導権(既得権)を奪われないよう、既存銀行が社内ベンチャーを通じて対抗しようとしているわけです。

photo フィンテックに特化したビジネス・コンテスト「Fintech Challenge」

 グローバル化や厳しい競争環境にさらされていない業界は、DXへの取り組みが遅れていますが、徐々に進んできてはいます。例えば介護業界。Pepperなどのサービスロボットを認知症予防に活用するなど、ロボットを導入する動きが加速していますよね。

 ほかにも、20年の東京オリンピックに向けて、公共インフラの分野でもDXが進みつつあります。例えば、漏水チェックにロボットを使ったり、橋にセンサーをつけて老朽化のチェックを自動化させたり――など。コスト削減のメリットもありますから、国も力を入れ始めています。このように、業界ごとに温度差はありますが、DXの浸透は全産業で確実に起こっています。

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