スバルは資本提携を受け入れつつ、独自性を維持していきたいと考えている。スバルの最も辛いところは、唯一の手持ちエンジンである水平対向ユニットの将来性だ。燃費と排ガスの両面で見て、長期的には継続が難しい。
またビジネス的に、大量生産による低価格を売り物にする戦略はない。内部でそういう見方があるからこそ、市場評価が高いスバルにとって特別な愛着があったはずの軽トラック、サンバーを生産中止にしてまで軽自動車マーケットから撤退した(他社供給のOEM販売は継続)。
2014年にスバルが発表した中期経営ビジョン「際立とう2020」を見ると、内燃機関に関しての施策は「直噴ユニットの拡大」「気筒停止」「リーン燃焼」の3つで、その先は「新世代環境戦略車」と言葉がにごされていた。しかし今年5月の決算発表で、2018年にPHV(プラグインハイブリッド自動車)の導入、2019年に新設計ダウンサイジングターボ、2021年にEVの導入を行うモデル計画が発表され、将来展望が見えつつある。
このうち2つは、トヨタアライアンスをうまく使って、トヨタ製PHVシステムを導入、さらにトヨタが開発してアライアンス各社が共有すると見られているEVユニットを搭載する可能性もある。内燃機関がどうなっていくのかは、残るダウンサイジングターボがどの程度力の入ったユニットとして仕上がってくるかにかかっている。ただし、戦略を見渡す限り、スバルは生き残りの軸足をEVに置いているように見える。
スバルが今後何を中心的価値に据えるのかと言えば、「安全」である。アイサイトで「ぶつからないブレーキ」の先頭を切ったスバルは、今後安全と高付加価値をスバルのコアバリューに据えていくことになる。
高付加価値で安全が売りということになれば、より制御しやすいEVは相性が良い。ただしEVの普及のためにはまだ解決すべきバッテリーのエネルギー密度問題が残っている。トヨタは、北米のZEV(ゼロエミッションビークル)規制への対応のため、EVの開発を急がなくてはならない状況だ。これが十分な性能を持って仕上がるかどうかが1つの分岐点になるだろう。
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