デジタルビジネスの時代に必要な人材マネジメントとは?指示体系や採用を変革(1/3 ページ)

» 2017年06月08日 07時00分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 現在のビジネス界では、テクノロジーを活用して業務を変革する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」がトレンドになりつつある。特に、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、ビッグデータ分析、ロボティクスなどのテクノロジーは、既存の業務を大幅に効率化すると考えられている。

 このような状況下で企業が成功を収めるためには、テクノロジーを使いこなせる人材を採用し、適切な部署に配置するほか、ITリテラシーを高める研修プログラムを考案するなどの「HR」(Human Resource)分野を変革する必要がある。

 では、具体的にはどのような手法が存在するのか。デロイトが、世界140カ国のの人事およびビジネスリーダーに実態調査を行い、その結果を踏まえて「デジタル時代のHRの在り方」を提言した。

photo デロイトによるHR分野の調査「グローバル・ヒューマン・キャピタル・トレンド2017」の内容を詳しく聞いた

「スピード感」と「協働」が成功のカギ

 デロイトの調査によると、現在の企業の組織形態は、社長を頂点とする“ピラミッド型”が大半だという。この場合、意思決定の仕組みはトップダウン型で、若手社員は管理職の許可がなければアイデアを実行に移すことはできない。

 しかし、デロイト トーマツ コンサルティング執行役員ヒューマンキャピタルリーダーの土田昭夫氏は、「配車サービスの米Uberや、民泊サービスの米Airbnbなど、短期間でデジタルビジネスに成功した企業は、ヒエラルキーにとらわれない組織デザインを導入している」と指摘する。「具体的には、IT部門などの他部署とも階層なく柔軟に協働する“ネットワーク型チーム”と呼ぶ組織形態を採用。『Slack』や『Skype』などのチャットツールも積極的に導入し、無駄なミーティング時間の削減も行っている」と話す。

photo 提言する土田氏

 デロイトによると、調査対象のうち、チャットなど協働のためのツールを「試験導入している」と答えた企業は全体の73%と多数で、他部署との協働を実現する上で最低限の環境は整ってきているという。土田氏は「企業は今後、社内の組織形態を変革し、スピーディーな意思決定を可能にする体制を構築できるかが成功のカギになる」と分析している。

photo 組織に対する企業の認識
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