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» 2017年06月08日 06時30分 UPDATE

中竹竜二氏×サイバー役員・曽山哲人氏対談:早稲田ラグビー元監督が明かす、失敗リーダーの典型とは? (1/6)

早稲田大学ラグビー部の監督を務めた4年間で2度の大学選手権優勝を果たした中竹竜二氏。チームを率いるリーダーとして彼はどのようなことに取り組んできたのだろうか。またそこから見えてくる、失敗するリーダー、駄目な組織とは何か。サイバーエージェントの人事を統括する曽山哲人取締役と語り合った。

[伏見学,ITmedia]

 企業組織を率いるビジネスリーダーにとってマネジメントの悩みは尽きない。とりわけ経験の少ない若手リーダーにおいては試行錯誤の連続の日々だろう。

 そうした状況の中でも、どうすれば組織を強くして成果を出せるのかを常に考えなくてはならないのがリーダーの使命であり、そこからは逃れられない。では、成果を出しているリーダーたちはどのように取り組んでいるのだろうか。

 2006年から4シーズンにわたり、母校・早稲田大学ラグビー蹴球部の監督として2度、大学選手権優勝にチームを導き、現在は日本ラグビーフットボール協会のコーチングディレクター、およびリーダー育成トレーニングを手掛けるTEAMBOX代表の中竹竜二氏と、サイバーエージェント取締役で人事を統括する曽山哲人氏が、強い組織の作り方や優れたリーダーの条件などを徹底的に語り合った(以下、敬称略)。

今年1月に発売された「マネジャーの最も大切な仕事」の監訳を務めるなど、リーダー論や組織論に一家言持つ早大ラグビー部元監督(右)とサイバーエージェントの名物人事(左)が対談。彼らが考える強い組織とは? 今年1月に発売された「マネジャーの最も大切な仕事」の監訳を務めるなど、リーダー論や組織論に一家言持つ早大ラグビー部元監督(右)とサイバーエージェントの名物人事(左)が対談。彼らが考える強い組織とは?

リーダーのタイプはさまざま

――今回は、組織を束ねるリーダーとして活躍されているお2人に「強いチームの作り方」をテーマにいろいろとお話しいただきたいと思います。

 中竹さんは以前から組織における「フォロワーシップ」の重要性を説いています。これはリーダーとしてぐいぐいとメンバーを引っ張っていくのではなく、彼らを支えていく役割が大切だということですが、そう考えるようになったきっかけは何でしょうか?

中竹: 僕自身、強烈なリーダーシップがない、人の上に立つようなキャラクターではないということを子どものころから自覚していました。ただ一方で、ラグビーではずっとチームリーダーとしてやってきました。小、中学生のころはよく周囲の大人から「もっと自分の気持ちを出せ」とか、「もっとメンバーを引っ張れ」とか言われました。口では「分かりました」と答えていましたが、「俺はこのやり方が好きなんだから」とどこか冷めていましたね。

――リーダー経験に関して、曽山さんはいかがですか?

曽山: 中学生のときに生徒会副会長に、大学時代にはラクロス部のキャプテンを務めました。また、学生ラクロス連盟の広報委員長として130ほどの大学をまとめていました。

 伊勢丹から社会人2年目でサイバーエージェントに転職し、30歳で人事担当になるまでずっと営業部門だったのですが、入社して1年目にマネジャーに抜擢してもらい、5〜6人のチームを率いることになりました。実はマネジメントでけっこう失敗しているんですよ。当時は自分の理想像と、マネジメントのアウトプットがまったく連携できなかったです。

 簡単に言うと、激詰めマネジャーで、全部俺の言うこと聞けというタイプでした。部下に対して「営業はこうこうすれば成果が出るから、全員これを真似して!」といった具合です。そうすると何が起きるか。僕の言うことを聞くメンバーがいて、結果が出ると、「ほら、俺が言った通りだろ」とさらに調子に乗る始末です。

 ところが、ある部下はまったく言うことを聞きませんでした。「やりました」と口では言うものの、実際にはやってないので当然結果は出ません。そしてあるとき、その部下が隣の部署に異動したら、どかんと営業成績が上がり、いきなり月間MVPを獲得したのです。それを見て「こいつ、まったく仕事できなかったのに……」とショックを受けました。

 異動先のマネジャーに聞いたら、やりたいように自由にさせているということでした。実は彼ものびのびと仕事をしたいと思っていたのです。

 大学のラクロス部のときもそうでした。毎朝誰よりも早く学校へ行き、練習や授業は絶対に休みませんでした。自分に厳しくするのが好きで、それを他人にも要求する面倒くさいタイプだったのですが、キャプテンになってからもそのままのスタイルでいました。結局、完璧主義者であるがゆえに、細かいことが気になってしまい、勝つことに対して目が向いてなかったのです。

――いつそのスタイルが変わったのでしょうか?

曽山: サイバーエージェントで働くようになってからは自分のマネジメントスタイルが危機的だという自覚はあったのですが、結果は出していたので、営業の局長などにどんどん昇格していくわけです。

 そうした中、当時の人事責任者からコーチングの合宿を紹介されました。恐らく役員会などで問題になったんでしょうね(笑)。ただ、僕自身は学びに対するストイックさなどは強いので、喜んで参加しました。その合宿で相手の考えや思いを聞くことの大切さを学んだのです。翌日会社に戻るや否や、部下にあれこれと質問するようになりました。彼らには「一体どうしたんですか?」と驚かれましたが、皆顔は笑っているわけです。今までは彼らを毎日のように詰めまくって、いつも青ざめたような表情をしていたのに、相手の話を聞くことでこんなに変わるんだと、その重要性を痛感しました。

 中竹さんに伺いたいのは、ずっとリーダーポジションだったわけですが、その中で最も良かった組織というのはいつですか? 結果が出た組織と、良かった組織というのは、感覚的には別物かもしれませんが。

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