【詳報】富士フイルム、不適切会計の裏に何があったのか富士ゼロックスを特別扱い(4/4 ページ)

» 2017年06月15日 07時00分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]
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主な質疑応答

会見での主な質疑応答は以下の通り。

――指摘:監査法人が調査を始めたのは16年11月だが、不正の報告を受けたのは3月末。なぜこれほど期間が空いたのか。

助野社長: ニュージーランドで何が起きていたのかを明確に知る必要があった。相当数の人間を派遣し、数万にわたる契約を精査させたため、非常に時間がかかった。

――FXNZは、年間売上高が200億円程度の会社。監査法人の中でのプライオリティーが低く、きちんとした監査が得られなかった可能性があるのではないか。

助野社長: 確かに、監査のレベルは売上高に応じて決めている部分がある。日本の富士フイルムHDや富士ゼロックスに対する監査とは、一定の差があるかもしれない。

――他の海外関連子会社でも不正が起きている可能性はないのか。

助野社長: 第三者委員会が他の地域についても徹底的に調査を行ったが、不正はみられなかった。不正はウィタカー氏の個人的な判断によるものだと考えている。ウィタカー氏に対しては、損害賠償も検討している。

――10年度以前の決算内容についても、今後調べる予定はあるのか。

助野社長: 既に全ての契約を調べたため、残っているものはない。再調査の予定はない。

――FXNZやFXAUでは、高い売り上げ目標が設定され、達成に対する厳しいプレッシャーがあったと指摘されている。マネジメントは適切だったのか。

助野社長: 事業会社である以上、期首に建てた計画の達成を目指してもらうのは当然のこと。富士フイルムHDから2社に対して、売り上げを伸ばせというような過度なプレッシャーを与えたことはない。売り上げ目標は、長い時間をかけて策定しており、適切なものであったと認識している。

――富士ゼロックスは今年3月、不適切会計による損失額が30億円との説明をしている。軽微なようにごまかす意思があったように見受けられるが、実際はどうか。

助野社長: 誤った申告を受けていた。こちらの認識が足らなかった。

――富士ゼロックスは、役員が交代したにもかかわらず、栗原博社長は留任している。それはなぜか。

助野社長: 富士ゼロックスのコピー事業を失速させないためだ。ゼロックスは、国内のコピー機の3割弱、コピー量の半数以上のシェアを占めている。この主力事業を伸ばすためにも、国内の営業を長年やってきた栗原を残すという結論に至った。

――退任した役員は、単なる辞職なのか、それとも更迭という形なのか。

助野社長: 責任をとっていただいた。



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