コンビニが「焼き鳥」強化、何が起きようとしているのか“いま”が分かるビジネス塾(1/3 ページ)

» 2017年06月21日 06時00分 公開
[加谷珪一ITmedia]

焼鳥強化の背景にあるのは市場の飽和

 ファミリーマートは今月から、レジ横にある総菜売場を強化している。同社の主力総菜であるフライドチキン「ファミチキ」の販売を拡大するとともに、経営統合したサークルKサンクスで人気商品だった焼き鳥をラインアップに加える。さらに夏には天ぷらの販売も始める予定だという。

 ローソンも焼き鳥のラインアップを強化している。2016年12月に、従来の焼き鳥と比較して20%増量した「でか焼鳥」の販売をスタート。人気商品である唐揚げと併せて、鶏肉関連商品の売上高を5割増にしたい意向だ。

photo ファミリーマートは焼き鳥などの総菜商品を、レジ横の大型のケース内で展開する

 コンビニ各社が総菜類に力を入れている背景には、コンビニ市場の飽和がある。これまでコンビニ各社は売上高を伸ばすため積極的な出店攻勢をかけてきたが、その戦略もそろそろ限界に来ている。最近では、競合のみならず、同じグループ内で顧客を奪い合う状況となっており、各社の1店舗当たりの売上高はほとんど伸びていない。

 こうした状況において、業績を拡大するためには、他の業態から顧客を奪ってくるしか方法はない。その方策の1つが焼き鳥など総菜類の充実ということになる。焼き鳥や天ぷらといったメニューが充実してくると、スーパーなど総菜を扱う他の小売店の顧客を獲得できることに加え、場合によっては居酒屋など外食産業からも一部の顧客を奪える可能性が出てくる。

 外食産業の中でも、実は同じような動きが顕著となっている。牛丼チェーンの吉野家が、アルコール類やおつまみなど、いわゆる「チョイ飲み」のメニューを拡充したのも、居酒屋など他の業態から顧客を獲得するためである。チョイ飲み分野は、コンビニ、ファストフード店、そして居酒屋の3業態が入り乱れた状況だ。

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