実は、アマゾンは2007年からスーパーマーケット業界に参入している。「Amazonフレッシュ」と呼ばれるサービスを立ち上げ、生鮮食品などのデリバリーを行なってきた。だが、米国内でも対応しているエリアが都心部の一部に限定されており、ビジネスの拡大が思うように進んでいなかった。
日本でも、2017年4月より「Amazonフレッシュ」が始まっているが、まだ首都圏と関東の一部のみのサービスで、今後どこまで普及するのかは未知数だ。
2017年4月に「Amazonフレッシュ」がスタートしたが、どこまで普及するかは未知数(出典:アマゾン)
そんな中、ホールフーズ・マーケットを買収して、米国、カナダ、英国にある460店舗とサプライチェーンを手に入れる道が開けた。本格的な参入に向けて、ついに勝負に出た感のあるアマゾンは、そもそもなぜ食料品にこだわっているのだろうか。
食料品を取り扱うことは、もはや小売ビジネスの成長戦略には欠かせなくなっている。食料品は生活に必ず必要となるものであり、消費者が日常的に購入し続けなければならない数少ないアイテムの1つだからだ。
事実、アマゾンとよく比較されることが多い、米小売業界最大手ウォルマートでも、食料品の売り上げが全体の売り上げの約半分を占めている。つまり小売業界で勝ち残るには食料品がカギとなるのだ。
ではホールフーズ・マーケットを手にいれたことで、どんなことができるようになるのか。アマゾンで、ホールフーズ・マーケットの食料品を購入し、仕事帰りに近所にあるホールフーズの実店舗でピックアップできる。
アマゾンの割引や特典を利用しながら買い物ができ、本や衣料品など別の商品もホールフーズ・マーケットで受け取ったり、返品が可能になる。もちろんデリバリーもしてくれる。
消費者にとってはアマゾンは、何だってすぐに手に入る「ワンストップショップ」となるのだ。
ホールフーズ・マーケットを手に入れたアマゾンは何ができるのか
- ドイツのスーパーが、かなりの勢いで世界中に広がっている秘密
ドイツのスーパー「ALDI(アルディ)」が、ものすごい勢いで成長している。英国や米国などでも店舗数を増やしていて、現在、世界18カ国で1万店以上を展開。日本では聞き慣れないこのスーパー……なぜ世界の人に支持されているのか。
- イトーヨーカ堂の反撃は始まっている
大手GMS(総合スーパー)が軒並み業績不振だ。ただし、各社の置かれた状況は一律ではなく、起死回生の一手となるカードを持つ企業がいるのだ。それはイトーヨーカ堂である。
- サラリーマンの味方「切腹最中」は、なぜ1日に7000個も売れるのか
お詫びの手土産として、多くのサラリーマンが購入する「切腹最中(せっぷくもなか)」をご存じだろうか。1990年に発売したところ、当初は注目されていなかったが、いまでは多い日に7000個以上売れている。「切腹」という言葉が入っているのに、なぜヒット商品に成長したのか。
- 「石原さとみの眉が細くなったら日本は危ない」は本当か
女優・石原さとみさんの眉がどんどん細くなっている。彼女のファンからは「そんなのどーでもいいことでしょ」といった声が飛んできそうだが、筆者の窪田さんは「日本経済にとって深刻な事態」という。なぜなら……。
- なぜマラソンビジネスが巨大化しているのか
いま、米国ではマラソンがとんでもない盛り上がりを見せている。国際的に有名なニューヨークシティマラソンなどのほかに、国内で約1200もの大会が開催されている。マラソン大会が増え続けている背景を調べてみると……。
- 米国のファミレスが苦戦している、3つの理由
米国のファミリーレストランが苦戦している。日本と同じように“若者のファミレス離れ”が加速しているが、それだけではない。米国では3つの要因が重なって……。
- コンビニ「Amazon GO」になれるのか
米Amazonが、レジ決済を必要としない店舗「Amazon GO」を2017年に開始すると発表した。今回は、Amazon Goのシステムが現コンビニに導入されたらどうなるかを考えてみたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.