「Eight」のSansan、リクルーティング市場に参入「企業ページ」6月下旬に

» 2017年06月22日 18時12分 公開
[青柳美帆子ITmedia]

 クラウド名刺サービス「Eight」を展開するSansanは6月22日、Eightで企業が情報発信できる「企業ページ」機能を6月下旬に追加すると発表した。名刺データとAI(人工知能)を活用した人材獲得支援サービスも開始し、リクルーティング市場に参入する。

クラウド名刺サービス「Eight」に「企業ページ」機能が追加。人材獲得支援サービスも始める

 Eightは名刺情報をデータベース化して管理できるサービス。OCR(光学式読み取り)技術と人力入力によって名刺情報の手間が省けることや、名刺交換をした相手がEightを利用していれば、現在の役職や転職情報が更新される機能などが特徴で、ユーザー数は150万人超。メッセージ機能やフィード(自身や他ユーザーの近況などが投稿・閲覧できる)機能なども備え、名刺データを利用した「ビジネスSNS」としても成長を始めている。

 6月下旬に追加する企業ページは、企業がユーザーに対してさまざまな情報やコンテンツを発信するページを無料で作れる機能。社員や元社員など企業に関連する人物も表示される。ユーザーが企業ページをフォローすれば、最新情報をフィード上で閲覧できる。

 先行企業として日産自動車、岡村製作所、サイバーエージェント、サイボウズ、ランサーズが利用を始める。

企業ページのイメージ図

 企業とビジネスパーソンとのコミュニケーション機能をもつSNSは、FacebookやLinkedInなどが先行。差別化については「Facebookはプライベートの投稿もあり、ビジネス専用ではない。またLinkedInは、転職を前提としたSNS。Eightは幅広いビジネスパーソンに活用されるビジネス特化のSNS」(Sansanの塩見賢治Eight事業部長)と説明した。

有料リクルーティングサービスと広告で売り上げアップなるか

 また、企業ページの有料オプションとして、リクルーティング支援サービスの「Eight Talent Solution」もスタートする。ユーザーに採用担当者が直接スカウトメッセージを送れる機能のほか、AIを活用し、転職を検討しているユーザーや企業にマッチした人材をレコメンドする機能を提供する。

 3月から一部企業で試験的に運用したところ、「多くの転職潜在層にリーチできるだけでなく、他のサービスと比べて候補者からのレスポンスが早かった」と好評だったという。月額課金制を予定している。

 新たなターゲティング広告商品「Eight Ads」も、企業ページのリリースと同時期に開始予定。Eightの名刺情報と帝国データバンクのデータを使い、「従業員規模1000人以上×人事部」「従業員規模1万人以上×営業」などと属性を絞ったターゲティング広告を、ユーザーのフィードに表示できる。16年5月から先行利用を試験的に一部企業で開始しているが、満足度が高く、リピートも多いという。

 Sansanは国内名刺管理サービスではトップシェアだが、2016年5月期の最終損益は13億6800万円の赤字。売り上げは伸びてはいるが、販管費が圧迫し、黒字化は果たせていない。新たな有料サービスと広告商品でさらなる売り上げ拡大を図る。

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