モンスター上司がこういう独善的な思考にこりかたまっているのは、「ピンクモンスター」のどう喝からもうかかがえる。
「豊田真由子様に向かって、お前がやってることは違うというわけ? わたしに自分が正しいと豊田の言うことは間違っていると?」
酔っ払った新聞記者がタクシー運転手を殴ったとかいう暴行事件がちょいちょい報じられるのは、ある一定の年齢以上の者たちに自分たちは「マスコミ様」という慢心があるからだ、と筆者は考えている。
この世界の人は、「他者批判」に社会人人生のほとんどを費やしてきた。たまに「自戒も込めて」とか殊勝な顔をして言うこともあるが、自分たちへの批判には目をつぶって生きてきた。
「平和」を訴えて行進する人たちが自分たちの理想を阻む者たちに対して暴力的になるように、「正義」をふりかざす人ほど、自分の考えに従わない者を力でねじふせようとする傾向がある。マスコミ業界には、我こそが「正義」だと信じて疑わぬおじさんがウジャウジャいるのだ。
こういうブラック業界で「ボイレコ告発」が炸裂するのは、もはや時間の問題ではないか。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで100件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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