営業現場へのAIの普及は、おそらく2つの段階を経て進むことになると考えられる。まず第1段階では、AIが営業チームの動きを学習し、営業チームの底上げを行う。
AI技術の本質は深層学習(ディープラーニング)。例えば囲碁や将棋でプロを負かすAIは、誰かに勝ち方を教えられたわけではない。数多くの対局を見てAIが学習し、自ら勝つ方法を編み出している。これは営業の分野でも同じ結果になる可能性が高い。
営業支援システムの中にAIが入った場合、AIは社内のセールスパーソンたちの活動をつぶさに学習するだろう。どのような頻度で顧客を訪問しているのか、どのような文面のメールを送っているのかといったところまで学習するようになるはずだ。
学習を通じてAIは、セールスパーソンがどう行動すれば高い成績を上げられるのか体系化していき、それぞれのセールスパーソンにアドバイスするようになる。
例えば、成績の振るわないセールスパーソンに対しては「この顧客は成約確率が低い。にも関わらず訪問回数が多すぎます。訪問頻度を減らし、その分、新規開拓を行った方がよいでしょう」「このメールの文面は不適切なので、書き直しが必要です」などのアドバイスが与えられることになる。
一般論として、成績のよいセールスパーソンは放っておいてもよい成績を上げるのであまり手間をかける必要はない。平均レベルのセールスパーソンの成績をどう向上させるのかでチームの営業成績は決まってくる。AIはこの部分を底上げできるので、企業としてはコストをかけても積極的に導入するメリットが存在するわけだ。
AIが導入された営業チームは、できるセールスパーソンの行動をAIが学習・分析することによって、セールスパーソンごとの能力差が縮小していく可能性が高い。
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