そもそも米IT企業の最新鋭テクノロジーには、米軍関係のプロジェクトとして開発されてから、民間で磨かれて実用化されることで広く普及するというテクノロジーは少なくない。私たちが日常的に使っているインターネットもそもそもは米軍が開発したものだし、アップル社の音声AI機能であるSiriも米国防総省の研究機関DARPA(米国防高等研究計画局)が開発に関わっている。そう考えれば、海軍向けに作られたAIテクノロジーが民間に転用されて成長していくのは自然な流れだ。
しかもリードクランチは大手2社を抑えて海軍との契約を獲得している。その2社とは、有名なAIシステム、ワトソンを開発するIBMと、情報機関などとも大型契約している大手のパランティアだ。リードクランチはもともとデジタル世界の詐欺行為対策やサイバーセキュリティを中心にビジネスを行なっていたが、そのノウハウが営業の見込み客を分析するのにも活用できると考え、ビジネス部門に進出したという経緯がある。
ではリードクランチはどんなAIツールを提供しているのか。同社はまずクライアントの営業部門がこれまで契約してきた20〜100の企業または個人の顧客名と住所、Webサイトなどの情報を受け取る。その情報を元に、徹底して財務情報、求人情報、プレスリリース、スタッフのプロフィール、過去の契約のきっかけ、さらには、WebサイトやSNSでのポスト、ニュース関連情報などありとあらゆるデータを収集し、インプットする。
そこから、数多くの企業の記録や文書など莫大なデータが集約されている自社のAIによる解析で、すでに顧客になっている企業などと類似する企業を見つけ出し、契約見込みの高い企業や個人を導き出す。その上で、電子メールなどの情報や相手へのコンタクトの仕方までアドバイスをする。
世界的にもビジネスシーンなどでネットによる情報共有がかなり進んでいる米国らしいサービスだと言えるが、イメージとしては、昔日本でも流行った「ウォーリーをさがせ」のようなもので、大勢の群衆の中から見込みある客をピンポイントで見つけ出すのだ。
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