「未来の営業マニュアル」いかがですか

ウォーリーをさがすように、「顧客」を見つけることができるのか営業部 AI課(3/4 ページ)

» 2017年07月11日 11時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

どのようにして「ウォーリー」をさがしているのか

 では実際に導入した企業が、どう「ウォーリー」を見つけだすことができたのか、見てみたい。

 カリフォルニア州サンディエゴを中心に、中型トラックのカーシェアサービスを提供する「ゴーシェア」。2014年に立ち上げられた同社は、配車サービス大手のウーバーのトラック版で、引越しや大きな買い物をした時など大きめのクルマが必要になったときに利用できるサービスだ。GPSで確認して最寄りのトラックを呼ぶと、運転手付きの中型ピックアップ車などが登場し、客と荷物を乗せて、目的地まで運んでくれるのである。

 同社はさらなる事業拡大の資金を調達しやすくするために月30%の成長を目標に掲げた。そして、それを達成するためにリードクランチの導入を決めた。

 リードクランチのAIツールからビジネス契約の見込みがある客の情報を得たゴーシェアは、導入後1週間ほどで変化を見せ始めたという。新規開拓のためのコストを劇的に減らすことに成功し、営業そのものに時間を費やせる時間が以前の3倍にもなった。

 営業先を闇雲に探す手間がなくなり、精度の高い見込み客リストを手にできるため、契約交渉に集中できるというわけだ。また、これまで進出していなかった周辺地域での新規開拓でも効率が倍増した。結局、ひと月の見込み客獲得数は300%増え、投資利益率(ROI)は500%になり、3カ月で成長率は3倍になったという。

 また企業ニュースなどを提供する米アントゥレプレナー誌は、リードクランチを注目企業として取り上げた記事の中で、同社のAIサービスを導入した企業のこんなケースを紹介している。月10ドルの料金でグーグルの拡張機能を売っていた「Ebsta」という米IT企業が、リードクランチと契約。リードクランチに自社の顧客100人の情報を渡して分析を依頼し、そこから導き出された見込み客のリストを利用するようになった。

 Ebstaによると、リードクランチから提供される情報は、社内で裁量権のある人物の名前とメールアドレス、電話番号までがリスト化されており、使い勝手がよかったという。これによって、担当者を見つけるアポ取りの時間などが削減でき、実際にそれまで平均35日かかっていた企業との面談までの時間が、平均10日と飛躍的に効率化された。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.