「人口減少」が続くが、解決策はあるのか世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)

» 2017年07月13日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

将来、移民の争奪戦が起きるかもしれない

 そもそも将来的に、日本の人口はどれほど減っていくのか。国立社会保障・人口問題研究所が2017年4月に発表した推計によれば、日本の人口は2040年に1億1092万人となり、2053年にはついに1億人を割って、9924万人になる。そして2065年には8808万人になるという(参照リンク)。

 もちろん日本は、人口問題研究所のこの調査よりずっと以前から、人口減の懸念を前にしてこれまでいろいろと対策を議論してきた。その一例として今もよく聞かれるのは移民政策だ。人口が減った分、外国から人を連れて来たらいいのではないかという賛否が分かれる対策だ。

 ただ外国人労働者の数はすでに徐々に増えている。厚生労働省が2017年1月に発表した外国人雇用状況を見ると、2016年10月の時点で届け出のあった数だけで108万3769人。この数は史上最も多い数で、その背景には留学生の就職支援などがある。ただ移民については、反対意見も根強く、一筋縄ではいかない対策だということに加え、将来的にはアジア諸国でも人口減が起きるために移民の争奪戦というような状況になるとの見方もある。

 それ以外では、出生率を上げるべきだという対策もよく耳にする。例えば、子どもを産んだ女性に年金を上乗せするといった現金給付のアイデアもあるようだが、ともすればカネで子どもを産ませようという対策にも受け取られるため、批判が出る可能性もある。

 また人工中絶を減らすことで出生率を上げられるとの指摘もある。現在、中絶を減らすべく、いくつかの対策が議論されている。例えば養子縁組。2016年12月に特別養子縁組あっせん法が成立し、養子縁組のあっせんに補助金を出したり、あっせん業社についても、これまでのトラブルが報告されていた申請制から、許可制に変わった。2017年5月には、「赤ちゃんポスト」の開設から10年が経ったが、これまで10年で130人の子どもが預けられ、半数ほどが養子縁組されているという。

日本人の人口が減少している(出典:総務省統計局)

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