上西、松居騒動になぜトランプが登場するのか世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)

» 2017年07月27日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

松居氏はトランプのSNS戦略を学んだ

 一方、離婚騒動の松居一代氏のケースはどうか。松居氏は「SNS」の手法をトランプから学んだというようなことを言っているようだが、YouTubeやブログを駆使した松居氏のネット戦略は、確かにトランプの戦略にも通じるものがある。

 松居氏発言によれば、離婚騒動の発端は、『週刊文春』の記者が一緒にハワイまで行って夫・船越英一郎の浮気調査などをしたのに、最終的には本人の意思に反して文春側が独自記事を掲載しようとしたことだった。松居氏は結果的に、ブログやYouTubeを使って、文春の発売日前に、文春にだまされたことや、自らの主張をネットにアップした。

 このやり口は、トランプをほうふつさせる。トランプも大統領選当時からきちんとメディア対応をしても、スタジオなどで専門家たちがいつも自分を批判すると不満をもち、自分で発言内容を支配できるTwitterなどにどんどん依存度を高めていく。就任後も依存度は高まり、2017年1月20日の大統領就任から半年で、991回もツイートしている。一方で、大統領としてメディアの前に立ち、単独で記者会見を行ったのはたったの1度だけである。

 トランプはツイートで自らの主張を表明することで、メディアというフィルターを回避している。記者会見を行えば、その場で嘘や間違いは指摘されてしまうし、メディアを介することで編集され、一番主張したいことが削られたり、結果的に発言を誤解されてしまうこともある。それゆえに、トランプは記者会見を極力行わずに、ツイートで支持者固めのためのツイートを続けている。

 「週刊文春に騙された」と言っている松居氏も同じ感覚でいるのだろうか。大統領選でトランプの勝利はSNS(主にTwitter)にあったと見ており、そこからSNSの戦略を学んだと発言している。だからこそ、文春の一件から、発言は常にYouTubeで一方的に行っている。言いたいことだけを主張して、誰からの質問も受け付けないまま言い分を垂れ流す。そして自分を理解してくれる「支持者」(松居氏は「家族」と読んでいるようだが、閲覧者のこと)にのみ、語りかけるというスタイルだ。

『週刊文春』が離婚調停について報じた(出典:文藝春秋)

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