大宮駅と浦和駅、埼玉の中心はどっち?エスタブな浦和、先進の大宮(2/3 ページ)

» 2017年07月31日 08時00分 公開

エスタブな浦和、先進の大宮

 それぞれの駅を代表する施設数で比較してみると、浦和駅周辺には埼玉県県庁、さいたま地方裁判所、県立図書館、県立美術館、埼玉県警、テレビ埼玉、NHKさいたま放送局、FM浦和、埼玉会館などがある。県庁所在地ゆえに当然といえば当然なのだが、エスタブリッシュメント感にあふれたラインアップだ。

 一方で、大宮駅周辺には鉄道博物館やさいたま市大宮盆栽美術館、プラネタリウムが見られるさいたま市宇宙劇場などが入ったJACK大宮がある。また、ユニークなプログラムで県外にもファンを多く持つFM局NACK5のサテライトスタジオを要する駅前ビル・アルシェには、人気タレントの出待ちのファンがたむろする。大宮は、斬新かつマニアックな施設が目白押しなのだ。

 とどめは2007年に開館された鉄道博物館。東京・秋葉原駅近くの交通博物館の閉館に伴って大宮に新設された「てっぱく」は「鉄道の街」大宮だからこそ成功した誘致だろう。

商都・大宮をイメージ戦略で浦和が猛追

 女性にとって大切なのが商業施設の充実度。駅前のショッピングビルといえば、浦和は浦和コルソ、伊勢丹浦和店、浦和パルコ。大宮には、ルミネ大宮店、そごう大宮店、大宮タカシマヤがある。昔は商業施設数は大宮のほうが断然多かったが2008年に浦和住民待望の浦和パルコができたことから、浦和駅前は西口、東口ともに大型商業施設がそろい、環境的には商都・大宮と肩を並べたようなかたちだ。そのうえ、女性目線では「行ってみたい」と感じさせてくれるハイクラスなショップも多い。エスタブな街・浦和の面目躍如といったところで、今では一歩リードしている感もある。

 しかし、売上高を見てみると、圧倒的に大宮に軍配が上がる。これは乗り入れ路線の数で明白なように、乗降客数に雲泥の差があるため仕方のない結果だ。また、門前町につきものの繁華街の影響も大だろう。浅草と吉原の例にもあるように、昔から寺院と歓楽街は切っても切れない縁がある。氷川神社への参拝客が降り立つ東口には通称ナンギンと呼ばれる大宮南銀座、キタギンと呼ばれる北銀座があり、一大歓楽街を形成している。こうした歓楽街の存在が大宮の盛況を呼んでいるのも事実だろう。

 現在、大宮駅の東口は再開発計画が進み、レトロ感あふれる商店街は姿を消す可能性が高い。健全な街づくりは積極的に推進してもらいたいものだが、人のぬくもりを感じさせてくれる個人商店が姿を消し、地方都市にありがちな画一的な駅前の姿になってしまうのは悲しいことだ。

 大宮・浦和両駅ともに、地元民が誇る歴史を反映した成長を望みたい。

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