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» 2017年08月02日 16時28分 UPDATE

寄付と脅迫:英難病乳児の命は誰の手に SNS論争が世界で過熱 (1/2)

英国の難病を患う乳児の尊厳死を巡る問題がソーシャルメディアで過熱しており、ある一家族の悲劇だったものが、世界的な論争の的へと姿を変えている。

[ロイター]
photo 7月26日、英国の難病を患う乳児の尊厳死を巡る問題がソーシャルメディアで過熱しており、ある一家族の悲劇だったものが、世界的な論争の的へと姿を変えている。写真は、英裁判所前で声明を発表する乳児の両親。ロンドンで24日撮影(2017年 ロイター/Peter Nicholls)

[ロンドン 27日 ロイター] - 英国の難病を患う乳児の尊厳死を巡る問題がソーシャルメディアで過熱しており、ある一家族の悲劇だったものが、世界的な論争の的へと姿を変えている。多くの寄付が集まる一方で、殺害の脅迫が寄せられ、バチカンや米ホワイトハウスからもコメントが寄せられた。

ツイッターでは先月初めから、乳児の名前であるチャーリー・ガードのハシュタグ「#CharlieGard」が約50万回使われている。英国でのグーグル検索回数は、チャーリーの名前がメイ英首相を上回り、全世界でも、米国政治を揺るがす医療保険制度改革法案を上回るほどだ。

生後11カ月のチャーリーちゃんは、筋肉の衰えが進行する遺伝性の難病に侵されており、脳の障害も認められた。ロンドンの病院は尊厳死を勧めたが、両親は拒否。米国へ渡って治療を受けさせることを希望した。

だが英国の裁判所は、この治療計画では治癒する可能性が低く、チャーリーちゃんの苦痛を長引かせるものでしかないと病院の主張を支持し、米国渡航を禁止した。欧州の人権裁判所もこの判断を支持した。

両親は、米コロンビア大学の平野道雄教授の治療法が、チャーリーちゃんに効果をもたらす可能性を示す新たな証拠があると主張し、渡航禁止の判断を覆そうとしていたが、病状が進行し、回復が見込めないことが分かり、訴えを取り下げた。

この裁判では、子どもの運命を決めるべきは親か、それとも医師かという、苦渋に満ちた倫理的なジレンマに注目が集まった。

痛ましい法廷闘争が次第に明らかになり、ローマ法王フランシスコとトランプ大統領がネット上でチャーリーちゃんの両親に対する支持を表明すると、世間の関心は大いに高まり、同裁判を巡る論争は英国にとどまらず、世界的現象となっていったことが、ウェブアクセス解析ツール、グーグル・アナリティクスは示している。

ローマ法王は6月30日、「人命を守ることは、とりわけ病を患っている場合、神が皆に委ねられた愛という使命である」とツイート。この日、チャーリーちゃんへのグローバル検索は285%上昇した。

それから3日後、トランプ大統領が「英国にいる友人や法王のように、小さなチャーリー・ガードちゃんを助けることができるなら、われわれは喜んでそうする」とツイートすると、検索は75%アップした。

英国内外で非常に多くの人が、チャーリーちゃんの運命を誰が決めるべきかという問題に関心を寄せ、インターネット上でコメントしているのを受け、ニコラス・フランシス裁判長は、事情をよく知らず投稿されたネット上のコメントを非難した。

「ソーシャルメディアの世界は、確かに非常に多くの利点もあるだろうが、本件のような裁判がネットで拡散される場合、事実に基づいていようとなかろうと、誰もが意見を表明する資格があると感じることを、落とし穴の1つとして挙げておきたい」と同裁判長は語った。

フランシス裁判長は、チャーリーちゃんが英国の公衆衛生サービスの犠牲者だと主張したり、衛生サービスには運命を決める力があるとする「ばかげた」コメントについて言及した。

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