“意識高い系”の学生には「ダメ出し」が必要だ常見陽平のサラリーマン研究所(2/2 ページ)

» 2017年08月04日 06時00分 公開
[常見陽平ITmedia]
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企業はしっかり、学生にダメ出しをしよう

 インターンシップ猛者学生は、学生同士で共同作業を行う「グループワーク」の仕切りも慣れている。

 「じゃあ、最初に役割分担を決めましょう」「30分あるので、課題の抽出に5分、取り組み事項の決定に5分、提案作りに10分かけましょうか」みたいなトークを連発する。さらには、あまり発言しない学生に「○○さんはどう思います?」などと振る。人事担当者にアピールするかのように仕切るのだ。

 この手の学生にもツッコミどころはある。よくあるのは、グループワークで何かを提案するときに「SNSを使って拡散させます!」という内容を盛り込む奴らだ。

photo インターンシップ猛者学生は、「グループワーク」の仕切りも慣れている

 「すごい提案をしてやったぞ」と思っているかもしれないが、そうそう拡散などしない。企業がどれだけ拡散に苦労していることか。実際に拡散しているものは、コンテンツや広告に相当お金をかけている場合が多い。この連載だって、「今週は拡散するかな……」と、いつもドキドキしているのだ。一番拡散したのは「BOOWY好き上司との付き合い方」だったな、そういえば。

 インターンシップに熱心なのは結構だが、企業にチヤホヤされて調子に乗ってしまっては困る。企業はしっかりと、学生をダメ出ししてあげないといけない。

 有効なのは、学生の考えに対して細かく質問することだ。「その企画はどんな人がどんなときに喜ぶの?」「実現するための課題は何? その課題はどうやって解決するの?」といった具合にだ。また「机上の空論」「頭でっかち」などとしっかり言ってやるのも良いだろう。

 さらには「それって元ネタ、ドラッカーでしょ? しかも、それドラッカーの本じゃなく、『もしドラ』でしょ?」みたいに、受け売りを指摘してあげるのも効果的だ。

 多くの学生にエントリーしてもらいたいという企業側の気持ちも分かるが、学生に気付きを与えることがインターンシップ本来の目的だ。ミスマッチをなくす上では、企業にとっても学生にとっても大切なことである。

 ちやほやせず、しっかりとダメ出しすることを企業に期待したい。

常見陽平のプロフィール:

 1974年生まれ。身長175センチ、体重85キロ。札幌市出身。一橋大学商学部卒。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。

リクルート、玩具メーカー、コンサルティング会社、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。長時間の残業、休日出勤、接待、宴会芸、異動、出向、転勤、過労・メンヘルなど真性「社畜」経験の持ち主。「働き方」をテーマに執筆、研究に没頭中。著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』『エヴァンゲリオン化する社会』(ともに日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)『普通に働け』(イースト・プレス)など。


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