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» 2017年08月10日 12時07分 UPDATE

大きな収益にはつながらない?:自動運転車開発、流れは単独路線から提携へ

ほとんどのメーカーが単独で自動運転車を開発する戦略を採用していたほんの1年前から状況が変わったのは明らかだ。

[ロイター]
photo 8月8日、自動車メーカーの間では、自動運転システム全体を完全に所有するのを避け、投資の負担やリスクを分散化する動きが好まれている。写真は6月、ボストンで行われた自動運転車の走行実験(2017年 ロイター/Brian Snyder)

[フランクフルト/デトロイト 8日 ロイター] - 世界トップクラスの高級自動車メーカーとして知られるBMWとダイムラーの両社は、それぞれ自動運転車開発でサプライヤーと提携しており、投入できる技術者がより多くなるメリットを盛んに主張している。

ただ業界幹部や専門家にロイターが取材したところでは、こうした提携の背景にはもう1つの動機がある。それは当初の活発な投資を促したような大きな収益の期待が現実化しないのではないかという懸念だ。だからメーカーの間では、自動運転システム全体を完全に所有するのを避け、投資の負担やリスクを分散化する動きが好まれている。

ほとんどのメーカーが単独で自動運転車を開発する戦略を採用していたほんの1年前から状況が変わったのは明らかだ。

あるドイツのメーカーの取締役は「(自動運転車は)かなりの市場とはいえ、現在行われている投資の規模には見合わないかもしれない」と話した。

メーカーのみならず、グーグルやウーバーといった情報技術(IT)系企業も自動運転車市場のパイを巡って競争を繰り広げているものの、コンサルティング会社フロスト・アンド・サリバンによると欧州では2030年まででも自動運転車は全自動車のおよそ10─15%を占める程度にしかならない。つまりこの競争で誰もが勝者になれるわけではないのは確実だ。

コンサルティング会社アリックスパートナーズでグローバル副会長を務めるジョン・ホフェッカー氏は「自動運転車向けソフトウエア生産で50社が成功を収めると考えるのは無理がある」との見方を示した。

単独開発路線から提携への転換で先鞭をつけたのはBMWで、昨年7月に半導体大手インテル、運転支援システムのモービルアイと連合して2021年までに自動運転技術のプラットフォームを構築すると表明した。

BMWの自動運転プロジェクト担当バイスプレジデント、クラウス・バットナー氏はロイターに「誰もが多額の投資をしている。プラットフォームとして一部のコアシステムを共同開発するのが理にかなっている、というのがわたしの考えだ」と述べた。

またダイムラーのメルセデス・ベンツは3カ月前、自動車部品のボッシュと連合を結成。ホンダ<7267.T>は自動運転車分野における他の企業との連携に前向きな姿勢を打ち出している。

資金が潤沢なIT系企業でさえチームを組んでいる。配車サービスのリフトとグーグルの親会社アルファベット傘下の自動運転車部門ウェイモは今年5月、資源の共有化を実施した。

<連携から合併へ>

部分的な自動運転は既に高級車で導入されている。ただ最終的に人間ではなく車が主体で運転する次の段階が実現するにはまだ何年もかかる公算が大きい。

BMWの自動運転開発担当取締役の1人は、電気自動車(EV)がそうであったように最初の完全自動運転車も採算割れになりそうだとみている。しかし主要メーカーとして今後もやっていくには、自動運転技術開発は必須であり続ける。

そこでこの取締役は「プラットフォーム(開発で)負担を共有できるなら、反対する理由は何もない」と語った。

BMWやメルセデス・ベンツなどが開発連合を立ち上げたのと時を同じくして、各国規制当局は自動運転技術に関する基準整備を進めている。業界専門家によると、こうした基準が設定されると単独開発が一層難しくなる可能性もあるという。

一方、自動運転技術開発における提携が、次の大きな投資局面でそうした企業同士の合併に発展する事態もあり得る、というのが業界関係者や専門家などの見立てだ。

(Edward Taylor、Paul Lienert記者)

Copyright © 2017 Thomson Reuters

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