デビットカードの需要広がる ジャパンネット銀行の戦略累計140万枚突破(1/2 ページ)

» 2017年09月06日 07時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

 ネット専業銀行のジャパンネット銀行は、デビットカード戦略を強化している。口座を開設した利用者に対して、キャッシュカードと一体型の「Visaデビットカード」を発行するなど、市場拡大に取り組む。

 デビットカードについては、金融機関が発行するキャッシュカードを支払いに利用できる「J-Debit」のサービスが先行しているが、国内の加盟店でしか利用できず、決済件数は伸び悩んでいる。一方、VisaやJCBといった国際ブランドが運営する「ブランドデビット」の普及が加速。日本銀行によると、デビットカードの決済件数は2016年度に1億件を超え、ブランドデビットによる決済が9割を占めた。

 ジャパンネット銀行は、Visaデビットカード事業に参入した10年以降、これまでに累計140万枚を発行。17年4月末に国内発行枚数500万枚に達したVisaデビットカードの発行会社の中でも、存在感を示している。Visaデビットカードに注力する狙いと今後の展望について、個人事業部決済商品グループの蓮見秀之氏に聞いた。

photo ジャパンネット銀行が発行しているVisaデビット付きキャッシュカード(右はファミマTカード機能付き)

デビットカード利用拡大の動き

――日本では、クレジットカードと比べてデビットカードの認知度は低いです。決済をすると即座にお金が口座から引き落とされる仕組みは分かりやすいと思いますが、なぜ認知度が低いのでしょうか。

 米国や英国、中国などは、デビットカードの利用が多く、一般的な決済手段になっています。これまで日本で広まらなかった理由は、ブランドデビットカードを発行する銀行が少なかったためだと思います。デビットカードは、直接預金口座と結び付くカードなので、銀行にしか発行できません。海外では、クレジットカードもデビットカードも銀行が発行していますが、日本ではクレジットカードを発行するカード会社が銀行とは別にあり、「カード決済=クレジットカード決済」という構図が出来上がっていたことから、普及が進まなかったと考えています。

 一方、近年は低金利の影響で金融機関の融資事業も苦しくなっています。12年ごろからは、メガバンクもブランドデビットカードの発行を開始しており、日本でも認知や利用が少しずつ広がってきています。

photo ジャパンネット銀行個人事業部決済商品グループの蓮見秀之氏

――ジャパンネット銀行はなぜデビットカードを導入したのでしょうか。

 ジャパンネット銀行は、2000年に日本初のネット専業銀行として営業を開始しました。しかし、その後ネット銀行も増え、店舗がない営業形態は珍しくなくなりました。“とがった”サービスによる差別化が必要な中で、10年2月、インターネット決済専用の「ワンタイムデビット」の提供を始めました。決済1回ごとにカード番号が変わる「カード番号使い切り」のサービスで、セキュリティの高さが特徴でした。

 しかし、よく使うショッピングサイトでも毎回カード番号を入力する必要があり、不便な面もありました。そこで、カード番号を自由なタイミングで変更できる「JNBカードレスVisaデビット」を13年4月に開始しました。カードレスデビットはジャパンネット銀行独自のサービスです。セキュリティの高さが好評で、現在でも提供しています。

 そして、同年12月から、キャッシュカード一体型のVisaデビットカードを発行しています。口座を開設すると、必ずVisaデビットカードの機能が付いてくるようにしました。

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