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» 2017年09月07日 06時40分 公開

世界を読み解くニュース・サロン:核シェルターが売れているのに、なぜ業者は憂うつなのか (2/4)

[山田敏弘,ITmedia]

核シェルター、スイスの普及率は100%以上

 まず核シェルターというのはどういうものか。一般的なのは、コンクリートで覆われた地下の密閉空間に、有毒物質をろ過する特殊なフィルターの付いた換気装置を設置する。この換気装置が「シェルターの心臓部」とも言われ、放射性物質だけでなく、サリンやVXガスといった今世界で知られている有害物質を排除してくれるため、内部で安全に過ごせるのである。

 日本で核シェルターの普及率はどれほどなのか。日本核シェルター協会によれば、その普及率は0.02%に過ぎない。海外に目を向けると、世界で最も災害意識が高いと言われるスイスでの普及率は100%以上。スイスに住んだことがある知人によれば、「スイスでは、学校や病院、デパートにも核シェルターがあり、普及率は100%を超える。ただ2012年に規制緩和があって、シェルター設置の義務は緩和されたが、いまでもあちこちにある」という。

 1960年代からシェルター設置が始まったスイスは紛れもなく「シェルター先進国」。日本で輸入されるシェルターもスイス製が多い。

 ほかの国はどうか。例えば米国では、トランプ政権が発足してから、シェルターの需要が増加しているようだ。テキサス州に拠点を置くシェルター専門の有名企業では、全体の売り上げが400%も増加した。さらに50万ドル以上の高級核シェルター(ジムなども完備した生活ができるシェルター)の販売は700%も増加しているという。顧客には、サウジアラビアの富豪から、ハリウッドスターまで幅広い。

 筆者が以前住んでいたシンガポールの家には、核シェルターがあった。シンガポールは周辺国からいつ攻撃されてもおかしくないという危機感をもっているので、政府がシェルター設置を義務付けているのだ。ただ友人宅などを訪問すると、核シェルターは単なる物置になっていたり、メイド用の部屋に使われていたり、といったケースがあった。ちなみに筆者の自宅に設置されていたシェルターも物置と化していた。

 シンガポールでは地下鉄もすべて核シェルターが設置されており、スイス製の換気装置が採用され、1980年代に日本企業が設置を行なっている。

核シェルターの普及率、日本は0.02%(出典:日本核シェルター協会)

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