阪神タイガースの「超変革」がなかなか進まない、なぜ?赤坂8丁目発 スポーツ246(4/4 ページ)

» 2017年09月22日 07時13分 公開
[臼北信行ITmedia]
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タイガース浮沈のカギ

 「かわいがり」や「しごき」などが問題視されるようになった現代において、プロ野球の世界でもかつては当たり前だった“鉄拳指導”や“愛のムチ”がご法度になってしまった。金本監督の「超変革」の停滞は前出のOBの指摘通り、こういう世の流れと関係しているところがあるかもしれない。さらに同OBは、こうも続けた。

 「『かわいがり』や『しごき』を禁ずるムードになっている今の世の中が悪いとは言わない。ただ何でもかんでもダメと言われ過ぎて、怒ることに対してもナーバスになってしまうと指導者は若手を育成し切れなくなる。その点、二軍監督の掛布(雅之)さんは若手をうまく褒めながら育成し、現代流の指導法をうまく身につけていた。だが、その掛布さんは今季限りで退団してしまうからね。一軍監督のカネとお互いにいい点、悪い点をすり合わせながら今後も二人三脚で行けば、いい形で融合できると思ったが、やはり結果的には水と油だったのかもしれない」

 かつて古巣カープで苦楽をともにした同じ1968年生まれの広島、緒方監督が眼前で連覇を達成したことも、金本監督にとっては悔しさを倍増させる材料となっているはず。まだ逆転日本一へ向けたCSの戦いは残されているが、今季も就任から2年連続でリーグVを逃したのは事実。今季で契約切れとなる阪神とは来季以降も複数年の長期契約を更新する方向性だが、就任3年目の2018年シーズンこそ13年ぶりのリーグVと低迷する「超変革」の達成が求められる。フロントも金本体制と心中する覚悟なのだ。

 虎の指揮官に悩んでいる余裕などない。今後のタイガース浮沈のカギは金本監督の手腕にすべてがかかっている。

臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:

 国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。

 野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。


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