最近はホワイトカラーの仕事だけでなく、あらゆる業種においてプチ労働の募集が増えている。こうした形態の募集が増えてきた理由は、やはり人手不足の深刻化である。
その証拠に、パート労働者の時給はこのところ急激に上昇している。厚生労働省の毎月勤労統計によると、6月におけるパートタイム労働者の時間当たりの給与は、前年同月比でプラス3.0%と大幅な伸びを記録した。7月も速報値の段階で2.9%とやはり高水準が続いている。
パート労働者の時給は今年に入ってから著しい伸びを示しており、年初以来2%を下回った月はない。大都市圏のパートの平均時給は約1000円だが、現実には1000円を提示しても人が集まらないというケースは少なくないだろう。
多くの企業において、パートは現場の重要な戦力となっており、必要な人数を確保しなければ業務が回らない。中長期的にはAI化やロボット化といった方策が考えられるが、すぐに実現できるものではないだろう。現時点では、プチ労働を増やすこと以外に短期的に労働力を確保する方法はない。
人手不足の深刻化によって必要な人員が確保できなくなると、企業は需要があっても生産を抑制せざるを得なくなる。そうなると労働者に支払われる賃金の総額が減り、結果的に需要を減退させるという悪循環に陥ってしまう。こうした事態を防ぐには、できるだけ多くの労働者を市場に呼び込み、供給できる労働力を増やすとともに、賃金総額を増大させることが重要となる。プチ労働の増加は日本経済全体にとっても大きなメリットをもたらすだろう。
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