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» 2017年09月28日 07時00分 公開

世界を読み解くニュース・サロン:ボイコット危機の平昌五輪で韓国が恐れる本当の“敵”とは (2/4)

[山田敏弘,ITmedia]

ボイコット発言相次ぐ

 9月21日、フランスのローラ・フレセル・スポーツ相が、フランスのラジオ局のインタビューで、「状況が悪化し、安全が確保できなければ、フランスの選手団はフランス国内にとどまる」とし、「選手を危険にさらさない」と述べたと報じられた。もちろんこれは多くが感じていたことだが、フランスが口火を切った形となった。

 韓国北部の江原道平昌郡は南北朝鮮の軍事境界線から80キロしか離れていないことから、参加国が不安に感じるのも理解できる。すると、フランスの見解に賛同する声も出てきた。オーストリア・オリンピック委員会のカール・シュトース会長はフレセルの発言を受けて、「状況がさらに悪化し、選手たちの安全が保障されなければ、私たちは韓国には行かない」と発言。またドイツの外務省も同国の選手を参加させるかどうかは「適切な時期に判断する」と声明を発表している。

 また国際オリンピック委員会(IOC)は8月に「われわれは非常に注意深く朝鮮半島と東アジアの情勢を監視している」との声明を発表している。さらにIOC幹部のジアン・フランコ・キャスパーは、フランスのフレセルによる発言より前の9月8日に「自国の選手の安全のために、五輪をボイコットするかもしれない国が出ることを恐れている」と、ボイコットが出る可能性に懸念を示していた。その上で、現時点で「Bプラン」を議論するのは時期尚早だと述べつつ、「(ロシアの)ソチや、(ドイツの)ミュンヘン」といった名前が代替地になる可能性があると示唆していた。

 当然だが、これには韓国が反発。韓国の通信社である聯合ニュースは、韓国文化体育観光部が9月23日、フランスに参加の正式な確認をとったと報じている。それでも英字紙のコリア・タイムズは、今後どう動くかは不明だとし、「(フレセルの)とっぴな発言は謝罪が必要だ」と不快感をあらわにしている。

 こうした一連の動きより前に、リベラルで知られる韓国の文在寅大統領はIOCのトーマス・バッハ会長と会談した7月、北朝鮮と韓国の南北合同チームの結成を議論したという。だがその後激化した北朝鮮の挑発行為、さらに北朝鮮に融和路線の文大統領にトランプ大統領があからさまに不快感を示したこともあって、この話は進展しそうにないとみられている。IOCも「実現は困難ではないか」との見解を出している。

 ただ一方で、米国のベテランスポーツ記者などは、北朝鮮の選手や代表団などを平昌五輪に優遇して多数参加させれば、北朝鮮も大会中に平昌を攻撃することはないだろうと主張している(参考リンク)が、確かにそれも一理ある。ただ実際に、北朝鮮の攻撃はそこまで切迫しているのだろうか。

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