大低迷にあえぐ東京ヤクルトスワローズは来季の新体制も大ピンチ赤坂8丁目発 スポーツ246(2/3 ページ)

» 2017年09月29日 08時00分 公開
[臼北信行ITmedia]

後任監督の不安材料

 すでに各メディアでも報じられている通り、後任監督には現在シニアディレクターを務める小川淳司氏が再び就任することが決定的となっている。だが、これは単なる内部昇格。どこかの球団の実力者がかつて口にした言葉を借りれば「人事異動」にすぎず、危機的状況を打開する意味では物足りない気がしてならない。

 もちろん2度目の監督就任となる小川氏の手腕に期待はしたい。同氏は10年のシーズン途中から14年まで4年半、ヤクルトの監督としてタクトを振るった。ヘッドコーチからシーズン途中に指揮官へ昇格した1年目は借金地獄にあえいでいたチームを立ち直らせ、最終的にはクライマックスシリーズ進出争いにも加わって貯金4でゴールイン。その後は2年連続でAクラス入りを果たした。しかし13、14年は2年連続最下位となって最終的に不振の責任を負う形で辞任している。

 球団内でも「監督として途中就任した年から低迷していたチームを見事にV字回復させ、それ以降の3シーズンでそこそこの結果は残した」と小川氏を評価する声は多い。しかし一方では次のように現実的な指摘もある。

 「小川さんは監督として1度もリーグ優勝の経験がない上、最後の2年間はチームを最下位に沈めているのも事実。そういう経歴の監督に果たして今の選手たちが付いてくるかどうかは甚だ疑問だ。しかも小川さんはカミナリを落としたり、ハッパをかけていったりするのではなく、どちらかというと選手を褒めて伸ばしていくタイプ。今のチームは全体に独特のファミリー体質がまん延し過ぎて完全に緩みまくっているフシがあり、本来ならば強烈なカリスマ性を発揮しながら緩み切ったネジを巻いてくれるような人がチームのトップになることが一番求められているような気がしてならない。小川さんでは逆に選手たちがナメてかかって、さらに“ユルフン”になってしまうことも懸念される」(関係者)

 不安材料はそれだけではない。小川氏は現在シニアディレクターとしてチーム編成のフロント業務に携わっており、シーズン終了後の今オフもその重責に忙殺されることが予想される。ドラフト会議や所属選手との契約交渉、他球団とのトレード話をいかにして進展させていくかなどの重責を任期まで担わければならない。新監督として心の準備を整える時間的猶予はほとんどなさそうだ。

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