代表落ちの本田圭佑は、このまま“終わって”しまうのか赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)

» 2017年10月06日 07時45分 公開
[臼北信行ITmedia]

黙々と自身の爪を磨いているのかもしれない

 メキシコリーグは標高の高い試合場で行われることがほとんど。パチューカの本拠地エスタディオ・イダルゴは標高2400メートルの高地にある。そのため平地よりも酸素が薄く、不慣れな選手にとっては試合ごとに高地トレーニングを行っているような環境下となる。右ふくらはぎの肉離れを引き起こしたことだけでなく、まだ完全に高地でのプレーに対して順応しきれていないところもどうやら本田の短い出場時間と関係しているようだ。

 事実、ウルグアイ人指揮官のディエゴ・アロンソ監督も「彼(本田)は慣れるまで、もう少し時間が必要かもしれない。しかし、その歯車がかみ合えば、さらに素晴らしいプレーができる選手だと考えている」と評している。

 また、高地は平地に比べて乾燥していることからボールの飛距離が伸びやすく、それほどキック力が強くなくても飛ぶ。本田は自身の性格上、そういう環境面での違いに関してはいちいち弁明しないが、今は新天地におけるアジャスト(順応)にも神経を大きくすり減らしているものと思われる。「たとえヨーロッパのスーパープレーヤーであっても、メヒコ(メキシコ)の高地で初めてプレーしたら完全に順応するまでは誰でもそれなりの時間を要する」とメキシコ国内のサッカー有識者が口にする指摘も、あながち的外れではない。

 そうだとすれば本田は今、黙々と自身の爪を磨いている期間なのかもしれない。今回代表には召集されなかったが、その間はメキシコ特有の環境下に自身を順応させ、クラブで何としてでも定位置を確保するために心血を注ぐ。きっとそのように前向きにとらえているだろう。

 その「慣れ」の瞬間が訪れた時、本田は再び上昇気流に乗る可能性はある。パチューカでは「4ー3ー3」をベースにしたシステムの際に中盤が逆三角形風になる中で攻撃的MF2人が左右のウィングに絡みながら好機の起点を作っていく「インテリオール」と呼ばれるポジションでの起用や、リーグ前12節のネカクサ戦のように「4ー2ー3ー1」のシステムでは「トップ下」としてピッチに立つなどさまざまだが、現状はまだスタメンを確保できていない。

 辛口で知られるメヒコの現地メディアは前節のように得点に絡めなかった試合では本田に辛らつな評価を与えているが、結果が伴わなければ酷評されるのも当たり前だ。それでも攻撃サッカーをスタイルとして貫くアロンソ監督やチームメートたちは、ここまで複数のポジションをこなしながら新天地に順応しようと懸命になっている真摯(しんし)な日本人プレーヤーにおおむね好感を抱いている。

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