エンギスト: 当社で仕事をしていくうえで、重要な言葉があります。それは「失敗は速く」。技術革新をしていかなければいけないので、「失敗」という言葉が出てくることに疑問を感じたかもしれませんが、頻繁にサービスの方向性を決めるためには、できるだけ「失敗は速く」しなければいけません。そのためにどうすればいいのか。多くのユーザーが当社のサイトに入って来てくれるので、彼ら・彼女らの行動を分析することで、その方向性があっているのかどうかが分かってくるんですよね。つまり、失敗しているかどうかの答えは、ユーザーが出してくれます。
どんなことをしているのかというと、ABテストを行っているんですよね。分かりやすく言うと、50%の人はまだ変化していないものを使っていて、残りの50%は変化しているものを使っている。ユーザーの行動を比較することによって、どちらがよいのかを分析して、方向性を決めることができるんです。
――具体的にどういったことをしているのでしょうか。
エンギスト: Webサイトでホテルの詳しい情報を知りたいときにはどうすればいいのか。ユーザーはクリックするわけですが、そのときに新しいタブを開いたほうがいいのか、それとも開かないほうがいいのか。社内でも意見が分かれました。新しいタブを開けるのはよくないという人に、その理由を聞いたところ「新しいタブを開いたことに気付いていない人がいるから」「どこに自分がいるのか分からなくなるから」といった意見がありました。一方、新しいタブを開けたほうがいいという人にも、その理由を聞いたところ「たくさんタブがあったほうが、その中から選びやすいから」といった声がありました。
エンジニアやプロダクト開発をしている担当者などから意見があったわけですが、全員がその道のエキスパートなので、自分の意見が絶対に正しいと思っているんですよね。そこでどうしたのか。当社が求めることは、ユーザーがたくさんのホテルを見たという数ではありません。実際に予約をしたという数字が重要なんです。ということで、ABテストを実施しました。
検索結果をクリックしたときに、新規のタブが開く場合、新規のタブが開かない場合をテストしたところ、どのような結果が出たと思いますか。
A:検索結果をクリックしたときに、新規のタブが開かない場合
B:検索結果をクリックしたときに、新規のタブが開く場合
C:どちらでも、成約率は変わらない
――タブがどんどん開くと、使いにくくなるしなあ。
エンギスト: 答えは「B」。「タブが開く場合」だったんですよね。というわけで、当社のサイトで検索結果をクリックすると、新しいタブが開くようになっています。
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