「おススメの赤は?」 AIがメルシャンのワインを提案ワイン初心者をフォロー

» 2017年10月17日 16時20分 公開
[伏見学ITmedia]

 国内ワインメーカーのメルシャンが人工知能(AI)を使って顧客に対するワインの提案を始めた。

 同社が運営するWebサイト「ワインすき!」の会員向け機能にAIチャットボットを導入、ユーザーからの質問などに対話型で答え、1人1人の好みに合ったワインや、ワインと相性の良いレシピなどの情報を提供する。

 9月14日にこのサービスを開始してから1カ月で、サイトの新規会員登録者は6000人と、通常時の平均の10倍を超えるという。もちろんAI機能の追加だけがその要因ではないが、担当者は手応えを感じている。

「ワインすき!」オフィシャルアシスタントのみのりさん(AIチャットボット)に質問を投げるとやり取りが始まる 「ワインすき!」オフィシャルアシスタントのみのりさん(AIチャットボット)に質問を投げるとやり取りが始まる

まだまだサービス改良の余地あり

 「ワインすき!」は2009年にオープン。当初は主にメルシャン商品のECサイトとしてスタートしたが、ワインの選び方が分からない、もっとワインの基礎知識を知りたいといったライトユーザー層をフォローしようと、徐々に記事などのコンテンツを充実させてきた経緯がある。現在、最も人気が高いコンテンツは、ワインに合う料理のオリジナルレシピだという。

「ワインすき!」のサービス全体を担当するキリン デジタルマーケティング部のメンバー。右から寺田智伸主務、田口友里子氏、伊藤佳奈子氏 「ワインすき!」のサービス全体を担当するキリン デジタルマーケティング部のメンバー。右から寺田智伸主務、田口友里子氏、伊藤佳奈子氏

 課題もあった。大半のコンテンツは会員以外でも閲覧可能なので、例えば、「ワインの保存方法」とグーグルで検索すると、上位に同サイトの記事が出てくる。当然そこから多くのユーザーが流入してくる。そうしたヒットコンテンツがいくつもあるため、サイト訪問者の7割が会員以外だそうだ。

 より幅広い人たちにワインの魅力を知ってもらう、ワインを好きになってもらうというのはメルシャンにとっても大切だが、事業としてサイトを運営している以上、会員数が大きな指標になる。現在の約10万人から年内には12万人に増やしたい考え。その原動力としてAIに期待するところは大きい。

 ただし、実際に使ってみると、AIの精度は決して高いとは言い難い。会話がかみ合わない、半ば強引に選択メニューや既存コンテンツに誘導されるなど、ユーザーが望む情報をピンポイントで提供できるようになるにはまだ時間がかかりそうだ。その点は担当者も認識していて、膨大な数のやり取りをAIに機械学習させることに加えて、ユーザーの入力データの分析や提供する情報のパターン分けなどを人の手によってテコ入れするとしている。

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