フィンテック連携の“ハブ”を目指す三井住友FGAIで不正を検知(2/3 ページ)

» 2017年10月27日 11時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

予想以上の成果も

 さらに、カードの不正利用だけでなく、悪質な取引によるマネーロンダリング(資金洗浄)の防止にも、AIによる検知を活用しようとしている。口座の不正利用など疑わしい取引が、当局への報告対象になるかを判定する業務にAIを取り入れる。三井住友FGによると、この業務にAIを活用するのは国内の銀行で初めてだという。

 疑わしい取引を届け出る業務においても、既存のシステムが発するアラートの中から誤判定のものを除外し、本当に報告の必要がある取引を選定する作業に多くの手間がかかっていた。AIによる判定を取り入れることで、アラートが出たときに、その取引を届け出る必要がある確率や根拠を提示できるようになるという。それによって、選別にかかる時間の短縮を狙う。

 AIなどを活用したサービス開発に向けて実験を進める中で、その結果には大きな手応えを感じている。「実証実験には目標値を設定するが、思った以上に成果が出るものもある。技術を持つ企業と一緒に取り組んでいるからこそ」と桑原氏は話す。

 また、得ているものは技術だけではない。ITイノベーション推進部オープンイノベーショングループの平手佑季氏は「優秀なベンチャー企業からは、こちらが思い付かないようなアイデアが出てくる。自社だけで考えるよりも成果は出やすいだろう」と舌を巻く。

 桑原氏も「打ち合わせで『ああ、そうか』とうならされることも多い。外部からの目線で見てもらうと、どう取り組めばより便利になるのか、気付くことができる」と話す。

photo 三井住友フィナンシャルグループITイノベーション推進部オープンイノベーショングループの桑原敦史氏(右)と平手佑季氏

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