「Lenovoの調達力とスケールメリットを最大現に生かし、グローバルな顧客に魅力ある製品を届けたい」――中国Lenovo Groupが株式の51%を取得することになった富士通のPC子会社・富士通クライアントコンピューティング(FCCL)の齋藤邦彰社長は11月2日、都内で開いた記者会見でこう話した。
富士通が課題としていた海外展開力を強化する狙い。FCCLは今後、国内外の市場を対象に、PC、タブレット、VR(仮想現実)ヘッドセットなどの研究開発、設計、製造、販売を担っていく。
富士通が、100%子会社である同名のFCCLの株式のうち51%をLenovo Groupに、5%を日本政策投資銀行(DBJ)に譲渡する形で合弁化する。譲渡額は計約280億円。株式譲渡は2018年度第1四半期をめどに実施する予定。DBJは金融機関の立場から、ファイナンスに関する助言を行っていく。
FCCLの社名と経営陣は現在のまま継続する。製品ポートフォリオや開発・製造体制も現在のまま維持し、富士通ブランドの製品を引き続き提供していく。
FCCLが開発した法人向け製品の販売は、富士通と販売パートナーが担当する。個人向け製品は、FCCLと量販店などが販売していく。
富士通の田中達也社長は「Lenovoとのコラボレーションによって、富士通はグローバルサービス企業に生まれ変わる。(海外という)新しい市場が広がることで、当社のビジネスも拡大していくだろう」と意気込む。
Lenovoのヤンチン・ヤン会長は、「日本では20年の東京オリンピック・パラリンピックが控えており、PC市場が今後も拡大を続けると判断して投資を決めた」と説明。
富士通との交渉には時間を要したというが、「中国には『良い結婚を望むならば、少し待ったほうがいい』ということわざがある。交渉が長引いたのは、ビジネス上のメリットを詳細に検討していたからだ。今回の“結婚”は成功すると考えている」(ヤン会長)と話している。
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