インタビュー
» 2017年11月15日 08時00分 公開

水曜インタビュー劇場(案内人公演):横須賀「軍港めぐり」の乗客が、どんどん増えている理由 (4/5)

[土肥義則,ITmedia]

案内人はお客さんに鍛えられている

土肥:案内人のトーク力を磨くために、厳しい研修を行っているのでしょうか。

鈴木:いえ、していません。マニュアルはあるのですが、それを読んでも、全体の40%ほどしかカバーできません。あとの60%はアドリブなんですよ。歴史が得意の案内人は歴史を詳しく説明して、武器が好きな案内人は武器を詳しく説明して……といった形で、それぞれが自分の強みを生かして解説しています。

 よく「案内人を雇うと人件費がかかるでしょ。なぜ音声テープを流さないのですか?」と聞かれるのですが、決まった内容を流すことができないんですよね。どういうことか。毎日、光景が違うからなんですよね。今日はこの艦船が停泊しているけれど、明日はいないといった感じで。時間によって、光景が違うこともあるので、人間の生の声でしか解説できないんです。

土肥:ということは、朝「今日は護衛艦Aを見ることができるから、この内容で」と思って準備していても、実際に海に出ると護衛艦Bが停泊していることもあるわけですか。

海上自衛隊の退役艦。船体は木造でできている

鈴木:よくあります。ターミナルから見えないところで、停泊していることがあるんですよね。船を出港してみて、「あ、この艦船が停まっているのね」といった感じで、ぶっつけ本番に近い形で対応することも。案内人は艦船に詳しいのでだいたい問題がないのですが……。

土肥:だいたい問題ないということは、問題があることも?

鈴木:国際交流の一環で、先日、オーストラリアやインドの艦船がやって来ました。韓国やカナダなどから来たこともあります。そうした場合、どうすると思いますか? ネットで検索するんですよ。船内のスタッフが双眼鏡で艦船を見て、ネットで調べる。そして、情報を紙に書いて、それを案内人に渡す。カンペですね。

土肥:ネットで調べても分からない場合、どうするのですか?

鈴木:誤魔化すしかありません。冗談で言っているのではなくて、そうしたときこそ案内人の腕の見せ所なんですよね。艦船が多くてすべて説明できないときもある一方で、出払っていてガラガラのときもある。ガラガラのときに、お客さんに「なんだよ。つまんねーじゃねえか」と思われてはいけません。「普段、ここの場所には護衛艦が停泊しているのですが、今日はいません。見えない場所が見えるので、みなさんラッキーですね」といった感じで、案内人は説明しなければいけません。

 案内人の解説が面白くなければ、お客さんの反応は悪い。自分は面白いと思っていても、お客さんの反応が悪いときがある。そうした経験を繰り返すことで、トーク力がアップしていくのではないでしょうか。クルーズ事業を始めたころのトークは、それほど面白くありませんでした。なぜ少しずつ笑っていただけるようになったかというと、お客さんに鍛えられているからなんですよね。

土肥:軍港めぐりの乗客数が増えているのは、なぜか。その答えは、案内人のトーク力がアップしたことで、乗客の満足度もアップした。結果、口コミが広がり、人気が出たということでしょうか?

鈴木:はい。

違うタイプの護衛艦が並ぶことは珍しいそうだ

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