――擬人化ものを企画するときに、どういったことを意識しているのでしょうか。
キルドヤP: まず、擬人化ものとして成立する条件がありますね。それは「数が多い」ことと、「キャラクターのイメージのしやすさ」があること。オンラインゲームはキャラクター数をある程度そろえなくてはいけないので、そもそもの題材の数が限られているものだとやりにくい。また、一般の人がぱっとイメージしづらい題材だと、キャラクターが生み出しにくくなります。神羅万象が題材になるわけではないんです。正統派なものは既に出しているので、あとからアイデアを出していくとややキワモノやヒネりを加えたものになっていきます。
深井: 正直、ゲームとして成立できる題材は限られますよね。さらにいうと、正統派なものは「目新しさ」が自分たちで感じられない。たとえ面白いストーリーを作れたとしても、「既にみたことがあるもの」になりかねないという感覚がありました。四字熟語を擬人化したゲームは自分たちにとっても新しく、さらに四字熟語は5000個以上も存在しているので「イケるかもしれない」と思いました。
キルドヤP: あとは「戦いやすさ」もありますね。例えばお酒の擬人化は面白いけれど、「お酒が何と戦うのか?」というイメージがしにくい。そこが「戦艦」や「刀剣」だと、そもそも戦うためのものですから敵のイメージがしやすい。「フラワーナイトガール」も、「花の敵」なので害虫と戦います。「キルドヤ」の場合は、意識が高いワードをドヤ顔で使う勇者と戦います(笑)。擬人化の題材だけではなく、「どういうゲームなのか」をすっと落とせるのが1つのポイントだと考えています。
――ITmedia ビジネスオンラインの読者の中には、擬人化ものになじみがない読者も少なくありません。擬人化ものの面白さはどういったポイントにあるのでしょうか。
キルドヤP: 予備知識がキャラクターの理解につながることが面白いですよね。「山田一郎SSR」と言われても「……誰?」となりますが、「織田信長SSR」なら「強くて魅力的なキャラクターだ」と一瞬で分かる。あとは、周辺情報を掘りたくなる楽しさがあるんですよね。「刀剣乱舞-ONLINE-」も「艦これ」も、史実や雑学を調べるとよりキャラのことが深く知れる。それは擬人化ならではだと思います。
深井: 「艦これ」は最初は艦船が好きな人がプレイしていましたが、もともと興味がなかった人も勉強して楽しむようになっていきましたよね。もともと興味がなかったテーマでも独自に調べて、「このポイントがこんなふうにキャラに反映されているんだ」と理解が深まっていきます。作り手も元ネタのいろんな要素を盛り込んでいるので、知識を深めつつも楽しんでもらえます。
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