こうした経緯を経て、KDDIの子会社となってから3カ月。ソラコムを取り巻く状況はどう変わったのだろうか。玉川社長は「変わった点とそうでない点がある」と話す。
「変わったのは、経営基盤が安定し、顧客からの信頼感がさらに増した点。当社の通信システムは傘下入り以前から高い評価を得ていたものの、スタートアップであるため経営状態を不安視する声もあった。大企業とビジネスを行う際は『財務諸表を見せてください』と疑われることもあったが、今は一切なくなった」
「一方、ビジネスの成長スピードは一切変わっていない。ソラコムは現在も、異なるオフィスで独立した事業を展開することが認められている。事業に関する指示を受けることもなく、恵まれた環境だと感じている」
ただ、今後IoTサービスを共同開発する可能性はあるという。KDDIは現在、消費者向けIoTサービス「au HOME」を展開しているが、「ゆくゆくは、こうした既存サービスにもソラコムの技術を提供したい」としている。
20年頃には第5世代移動通信システム(5G)が実用化し、より多くのモノがつながる“IoT時代”が到来すると予測されている。ソラコムは今後、来たるべきIoT時代に向けてどのようにビジネスを発展させるのだろうか。
玉川社長は「IoT市場は非常に魅力的なので、多くの企業が参入してくるだろう。ただ、当社は競合を意識するのではなく、顧客は何を望んでいるのかを見極めながら事業を続けていきたい」と慎重な姿勢を崩さない。
ドコモやソフトバンクもIoTビジネスに取り組んでいるが、「他のキャリアは競合だとは感じていない。確かに両社は強固な通信システムを持つが、当社のようにクラウドを活用して設備投資額を削減したり、柔軟性のあるサービスを提供したりすることはできない」と断言する。
「当社は、『世界中の人とモノをつなぐプラットフォームを提供する』という方針のもと、誰でも簡単に始められるIoTサービスの提供を続けていく。こうした他社にはないサービスを粛々と続けている限り、顧客は自然とついてくるだろう」
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