貴乃花の1人クーデターによって、“パンドラの箱”は開くのか赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)

» 2017年11月30日 12時53分 公開
[臼北信行ITmedia]

大横綱も浮世離れした怪行動

 日馬富士と伊勢ヶ浜親方だけではない。九州場所では、あの“大横綱”でさえも浮世離れした怪行動を見せていた。通算40回目の優勝を成し遂げた横綱白鵬が土俵下での優勝インタビューを受けた際、観客とともに万歳三唱を繰り返したことだ。NHKの大相撲中継で解説を務めていた北の富士勝昭さんが「やり過ぎだね」と苦言を呈していた。同感だ。角界が大きく揺れ動く中、いくら40回という大台に乗って優勝したといっても慎ましく振る舞うことこそが本来は横綱に求められる品格ではないのか。

 しかも白鵬は11日目の嘉風戦で初黒星を喫した際の軍配に納得せず、立ち合い不成立を訴えて約1分間も土俵を立ち去らずに抗議行動まで行っている。万歳三唱を含め、これらは横綱どころか力士としても前代未聞の振る舞いと言っていいだろう。もっと言えば、白鵬は日馬富士が暴行に及んだモンゴル人力士たちの酒席に同席していた人物として、鳥取県警や日本相撲協会の危機管理委員会に事情聴取されている立場だ。ネット上でも「貴ノ岩に対する日馬富士の暴行を白鵬はなぜ止めなかったのか」として壮絶なバッシングが繰り返されている中、普通に考えれば、こんな大それた振る舞いはできない。

 それでも堂々と抗議行動や万歳三唱をやってしまったのだから、おそらく白鵬の中にも日馬富士の暴行を止められなかったという罪悪感がないのだろう。

 いや、それどころか日馬富士の暴行そのものにも白鵬には「悪いこと」という認識がなかったように思えてくる。だからこそ同じく千秋楽の優勝インタビューで「膿を出して日馬富士、貴ノ岩を再び土俵に上げたい」と言い切って被害者はともかく、被疑者までも復帰を後押ししたのかもしれない。

日馬富士の暴力問題を受けて、協会側が見解を発表(出典:日本相撲協会)

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