えっ、CDプレーヤーが売れている? エスキュービズムの戦略が面白い水曜インタビュー劇場(隙間公演)(2/5 ページ)

» 2017年12月13日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

なぜCDプレーヤーを開発することに?

土肥: ポータブルタイプのCDプレーヤーが売れているそうですね。2014年10月に商品を発売したわけですが、なぜこのタイミングだったのでしょうか?

横町: CDプレーヤーの1号機はソニーが発売したわけですが、そのソニーが撤退したことが大きいですね。他社もCDプレーヤーを販売していたのですが、市場が縮小していたので、次々に撤退していました。そうした状況のなかで、家電量販店のバイヤーさんなどから「CDプレーヤーをつくる会社が少なくなっていまして。どうしたらいいのか」といった声がありました。そこで、当社は「じゃあ、ウチが」と手を挙げてつくることに。

土肥: エスキュービズムは液晶テレビや冷蔵庫などをつくっているわけですが、CDプレーヤーって「じゃあ、とりあえず」といったノリでつくることができるのでしょうか?

横町: 当社はファブレス(工場を持たない)なので、商品の金型からつくったわけではありません。中国で開かれていた家電の金型見本市で、CDプレーヤーの金型があったので、商品化が実現できるかなあと思いました。CDプレーヤーは1982年に発売され、その後技術が大きく変わったわけではありません。それほど難しくないので、私たちのような新興メーカーでも参入できたと思います。

土肥: 家電量販店やディスカウントストアなどで、聞き慣れないメーカーの製品が並んでいますよね。冷蔵庫、トースター、電子レンジなど。大手メーカーが過去に開発した技術や部品があって、それらの特許を侵害しない形でつくっている「ジェネリック家電」がありますよね。このCDプレーヤーもジェネリック家電になるわけですか?

横町: はい。

土肥: 開発はどのような形で進んだのでしょうか?

横町: 最大手だったソニーの商品はどのようなプレーヤーだったのか、どのようなスペックを搭載していたのか。そのスペックに合わせて、設計していきました。次に、付属品をどうすればいいのかという問題があったのですが、バイヤーさんの声を聞いて、必要なモノ、不要なモノを決めていきました。

 開発にあたって、苦労したことはデザイン。技術的なことはほぼ完成しているので、新製品だからといって大幅に変更することは難しい。他社のCDプレーヤーを見ていただければ分かるのですが、性能はだいたい同じ。じゃあ、何が違うのか。当社はデザインを自社で設計するので、その部分にはこだわりました。どういった形がいいのか、どういった色がいいのか。成熟している製品だからこそ、消費者に何が求められているのかを考えながら、つくっていきました。

開発の際、デザイン面で苦労したという

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