稼ぐためだけの副業はオススメできない常見陽平のサラリーマン研究所(3/3 ページ)

» 2017年12月15日 06時00分 公開
[常見陽平ITmedia]
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常見氏の副業人生

 3つの副業タイプを紹介したが、別にこのどれか1つに絞れと言いたいわけではない。選択は皆さんの自由だ。もっとも、この3つを並行して行う、徐々に型が変わっていくというスタイルがあってもいい。

 私は予行演習型の副業をしてきたと言える。講演などで自己紹介をするたびに「かなり転職されていますね……」と観客も主催者も驚かせてしまうのだが。物書き業にしても、サラリーマン時代から取り組み、「これで食っていけるかな?」「食っていくためには何が足りないか?」と実験をしてきた。おかげさまで、一時はこれでかなり食べることができていた。また、大学の非常勤講師の仕事をしたおかげで、大学教員になるための予行演習をすることもできた。

 もっとも、私の副業は当初は予行演習型だったが、徐々に相乗効果型になってきた。いま取り組んでいることがそのまま記事になる、講演やメディアでの発言のネタになるというような感じだ。異種格闘技型も、大事にしている。明らかに自分のストライクゾーンすれすれのテーマでの執筆・講演などだ。

 以前、『ちょいブスの時代』(宝島社)という本の執筆依頼があり、実際書いた。美人より、おもてなしに長けたちょっとブスのほうが愛嬌(あいきょう)があってモテる、という内容だ。私の本の中でもワーストに近い内容と売れ行きだったのだが、仕事内容の幅が広がることには貢献した。たまに、プロレスの試合に出てくれというオファーもくるが、これもすれすれだろう。

 大事にしている言葉に、「頼まれ事は、試され事」というものがある。依頼されるということは期待されているということであり、そこから人生は広がるのだ。

 副業を始めようか否かで悩んでいる場合ではない。何かやりたいことがあったら、試しにやってみよう。その位置付けを考えよう。言いたいことはそういうことだ。

常見陽平のプロフィール:

 1974年生まれ。身長175センチ、体重85キロ。札幌市出身。一橋大学商学部卒。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。

リクルート、玩具メーカー、コンサルティング会社、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。長時間の残業、休日出勤、接待、宴会芸、異動、出向、転勤、過労・メンヘルなど真性「社畜」経験の持ち主。「働き方」をテーマに執筆、研究に没頭中。著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』『エヴァンゲリオン化する社会』(ともに日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)『普通に働け』(イースト・プレス)など。


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