トヨタの新型「クラウン」はネット接続を標準装備 何ができる？：来夏発売（1/2 ページ）

[濱口翔太郎，ITmedia]

　「トヨタは、コネクテッドカー（つながる車）のサービスを本格的に始める。自動車は今後、単なる移動手段ではなく、街・人・社会とつながるデバイスになるだろう」――トヨタ自動車の社内カンパニー、コネクティッドカンパニー コネクティッド統括部の山本昭雄部長はこう強調する。

新型「クラウン」を予告するコンセプトモデル「CROWN Concept」

　トヨタはコネクテッドカーへの取り組みを続けており、自動車向けの通信モジュール「DCM」（Data Communication Module）を開発。カーナビに話しかけるだけでニュースや天気などを検索できるテレマティクスサービス「T-Connect」などを展開してきた。

自動車向けの通信モジュール「DCM」

　ただ現在、これらを実装しているのは高級車「レクサス」ブランドが中心。実際に車道を走っているのは「数十万台程度」（山本氏）にとどまっている。

　コネクテッドカーの普及に向け、トヨタは2018年夏発売予定の新型「クラウン」に車載通信機を標準装備する。「トヨタ初の本格的コネクテッドカー」と銘打ち、フラッグシップモデルとして大々的に展開する計画だ。

フラッグシップモデルとして大々的に展開する計画だ

新型「クラウン」、ネットにつながって何ができる？

　新型クラウンは、ネットにつながることで何ができるのか。

　山本氏は、「都市部への人口集中による渋滞の悪化、少子高齢化による移動困難者の増加といった社会的課題を解決する機能を備えた」という。

コネクティッドカンパニー コネクティッド統括部の山本昭雄部長

　具体的には（1）先行車のスピードを取得し、自動で追従走行することで渋滞を解消する機能、（2）信号変化などの情報を取得してドライバーに注意喚起する機能、（3）過去の走行履歴から行き先と走行ルートを予測し、交通規制や渋滞の情報を事前に提供する機能――などを実装する。

　位置情報データと自然言語認識技術を組み合わせ、ドライバーが「近所にお勧めのお店はある？」とカーナビに質問すると、検索結果をレコメンドする機能も搭載予定。過去の走行履歴を基に行き先を予測し、走行ルート上の規制・渋滞情報や最寄りのスーパーの特売情報などを合成音声で伝える機能も備える予定だ。

数分後の運行ルートの予測も目指すという

　車の警告灯が点灯すると、管理システム「トヨタスマートセンター」が異常要因を分析し、走行可否判断などのアドバイスを自動生成する「eケアサービス」や、エアバッグ連動型の通報システムも備え、安全性を高めたという。