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» 2017年12月27日 06時00分 公開

臨床試験に不備か:加熱式たばこiQOS、臨床試験に科学者が問題点を指摘 (1/7)

米食品医薬品局(FDA)は、フィリップモリスが開発する加熱式たばこ製品の発売を承認するかどうか検討を行っている。

[ロイター]
photo 12月26日、米食品医薬品局(FDA)は、フィリップモリスインターナショナル(PMI)が開発し先駆的な商品となる可能性のある加熱式たばこ製品の発売を承認するかどうか検討を行っている。写真は同社の加熱式タバコ・IQOS。1日撮影(2017年 ロイター/Carlo Allegri)

[東京/ニューシャテル(スイス) 26日 ロイター] - 米食品医薬品局(FDA)は、フィリップモリスインターナショナル(PMI)が開発し先駆的な商品となる可能性のある加熱式たばこ製品の発売を承認するかどうか検討を行っている。結論は来年にも出るとみられるが、同社の元社員や契約者など関係者はロイターの取材に対し、FDAへの申請の根拠となっている臨床試験にいくつかの不備があったと指摘している。

「iQOS(アイコス)」というこの製品は、たばこを燃焼させず加熱することによって、従来のたばこと比べ発がん性物質のレベルや有害物質を低減することができるとしている。同社はiQOSなどの新たなたばこ製品の開発に、すでに30億ドル以上を投じてきた。その一環として、臨床試験に基づくものなど科学的な検証結果を公表している。

PMIで2012年から2014年まで働き、iQOSの臨床試験に携わったタマラ・コバル氏は、試験を担当した医師や医療機関の資質に疑問を呈している。コバル氏は試験のプロトコルの共同執筆者の1人でもあったが、試験の不備を指摘したところ、ミーティングから外されたという。

臨床試験を実施した数人の治験責任医師(Principal Investigator=PI)とのインタビューの中でも、いくつかの不備が見つかった。1人の医師は、たばこに関しては知識がない、と述べた。ある試験では、被験者へのインフォームドコンセントという基本的な手続きを踏んでいなかったことがわかり、試験は中止された。

別の試験では、人間が1日で出す量を大きく超える多量の尿サンプルを医師が提出したと、同社の2人の元社員が明らかにした。

さらに別の医師は、企業が出資して行う臨床治験は信用できないものだと語り、治験というのは医学的目的というより商業的な目的で行われる「汚い」ものだと述べている。

ロイターが取材で得たこうした情報について、PMIは文書で「全ての試験は適格な資格のある、訓練された責任医師によって行われた」とした。「FDAの調査官がすでにいくつかの医療機関を査察した」とし、試験の不備に関しては、すでに対応策をとっていると答えた。

さらにPMIは「われわれのポリシーは、違法行為や当社の方針に反する行動が疑われる場合、それらを率直に指摘することを奨励しており、指摘したことに対する報復は許容されない」と回答した。

ロイターは、同社がFDAに結果を提出した8件の臨床試験を担当した11人の責任医師のうち、5件を担当した6人にインタビューを行った。さらに公表されている数百ページに及ぶPMIの試験報告書を検証した。

その結果、責任医師の一部にトレーニングの不備やプロフェッショナリズムの欠如がみられ、試験の結果について十分な確認作業が行われていないことがわかった。

FDAの元幹部と2人のサイエンスアドバイザーを含むたばこ研究・政策の専門家グループにロイターの記事とPMIの回答を検証してもらったところ、PMIの臨床試験には、懸念をもたらす点があると指摘した。

1990年から97年までFDA長官を務めたデビッド・ケスラー氏は「全体として、彼らには、適切でうまくコントロールされた治験を行うための高度な知識がないことが明らかだ」と述べた。「悪意があったと言うつもりはないが、単に高度な知識の欠如がみられる。これは(治験が)PMIの専門とするところではないからだろう」と語った。

もし、FDAがすでに試験が行われた施設の査察を行っていたとしたら「丁寧に結果を精査し、査察の対象を拡大する必要があるかもしれない」とケスラー氏は言う。同氏はエール大学の医学部長を務めた経験もある。

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