日本のキャッシュレス化を考える進展はいかに?(2/3 ページ)

» 2017年12月28日 07時00分 公開
[福本勇樹ニッセイ基礎研究所]
ニッセイ基礎研究所

先進国のキャッシュレス化はカード決済が中心

 今後のキャッシュレス化の進展に関する予測について見てみたい。米国では15年から20年にかけてクレジットカード決済(30.7%→38.7%)とデビットカード決済(25.3%→27.9%)の割合が上昇し、現金決済(15.8%→12.2%)の割合が低下すると予測されている(図表3)

図表3 米国におけるキャッシュレス化の動向 図表3 米国におけるキャッシュレス化の動向

 また、英国においても16年から26年にかけて、クレジットカード決済(7.1%→9.0%)とデビットカード決済(29.9%→44.3%)の割合が上昇し、現金決済(39.7%→21.2%)の割合が低下すると予測されている(図表4)

 両者に共通しているのは、キャッシュレス化は主にカード決済の割合が上昇することで進展し、現金決済の割合が低下すると予測されている点にある。

図表4 英国におけるキャッシュレス化の動向 図表4 英国におけるキャッシュレス化の動向

 フランス・パリに本拠地を持つコンサルタント企業であるCapgeminiと金融機関のBNP Paribasの共同調査(※2)では、全世界の非現金決済手段(※3)に占めるデビットカードの割合が46.7%、クレジットカードの割合が19.5%と紹介している。よって、日本とは異なり、世界的にはデビットカードの利用がキャッシュレス決済において一般的である。

 15年から20年にかけて、世界における非現金決済の取引数が年平均10.9%で増加していくと予想しており、グローバルにキャッシュレス化が進展していくものと考えられている。特に、直接的なデビットカード利用については増加率が逓減していく一方で、ICカードやQRコード等を用いるような非接触型の決済がこれからの潮流になっていくだろうとしている。

※2 “World Payments Report 2017” Capgemini and BNP Paribas 2017

※3 当該レポートにおける「非現金決済」には、小切手等の決済手段も含まれる。

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