「新しい酒は新しい革袋に盛れ」ということわざがあるように、企業や家計を取り巻く環境が大きく変化すれば、企業や家計の活動の場である社会の仕組みも大幅に変える必要がある。
もちろん、それぞれの制度の中では、変化に対応した変更が行われてきた。しかし、変化の規模はあまりに大きく、個別制度の部分的な修正では間に合わず、日本の社会システム全体の基本設計の変更が必要だ。
変化の先にどのような未来が待っているのかが見えない中で、多くの人が不安を感じている。大幅な仕組みの変更には、幅広い世論の合意を形成する必要もある。将来の日本社会はどうあるべきかを議論し、将来に向けて政府が何を目指しているのかをはっきり国民に示すことが、今のわが国には必要なのではないだろうか。
平成に入って、日本経済はバブル経済の崩壊やアジア通貨危機、金融危機、ITバブル崩壊、リーマンショック、欧州債務危機と次々とショックに見舞われ、政府も企業も家計も目の前の危機への対応に追われた。日本経済は失われた10年どころか20年を超える低迷が続き、物価の下落というデフレに苦しめられてきたが、失業率は2.7%という低い水準に低下し、ようやく目先ではなく将来のことを考える余裕が少し生まれている。
平成の終わりという1つの節目が見えてきたところで、新しい時代が始まるまでの間に、個人的にも企業でも日本全体でも、じっくりと未来の世界、日本、そして、自らの将来を考えてみてはどうだろう。
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