創業100周年の企業は? あの大手メーカーが歩んだ100年モノづくりの礎を築いた

» 2018年01月10日 16時10分 公開
[加納由希絵ITmedia]

 セールスパーソンにとって、営業先企業のデータを集めることは必須業務。ちょっとした情報が取引につながることもある。その中でも基本的な情報の1つといえるのが「周年記念」。すでに頭に入っている人も多いだろう。2018年に創業100周年を迎える企業をおさらいしておこう。

photo 創業100周年を迎える大手企業とは?

大手メーカーが相次ぎ創業した100年前

 東京商工リサーチによると、創業100周年を迎える企業は全国1760社。100年前の1918年(大正7年)は、第一次世界大戦が終戦を迎え、大戦景気の特需によって物価が高騰、暴動事件「米騒動」を引き起こした。好景気で工業も発展した。

 その年に創業した主な企業をみると、電機や自動車関連の大手メーカーが名を連ねる。日本のモノづくりを草創期から支え、発展させてきた企業だ。

 パナソニックがその筆頭。Webサイトによると、1918年3月7日、創業者の松下幸之助が「松下電気器具製作所」を23歳で創設。配線器具のアタッチメントプラグの製造販売を妻と義弟の3人で開始した。27年(昭和2年)に電池式ランプで初めて「ナショナル」の商標を使用。35年には、前社名である「松下電器産業」に改組した。

 その後、電子部品や電化製品、通信機器など業容を拡大し、世界的な総合エレクトロニクスメーカーとなった。2008年、創業90年の節目で社名をパナソニックに変更。ブランドも「Panasonic」に統一した。

photo パナソニックは特設サイトで歴史を紹介している

トヨタグループの源流も誕生

 トヨタ自動車グループの源流となった企業も100年前に誕生している。自動車用シートなど内装部品を手掛けるトヨタ紡織の前身、豊田紡織だ。1918年1月30日、自動織機を発明した豊田佐吉によって設立された。その後、26年に豊田自動織機製作所(現豊田自動織機)が設立、その社内に設置された自動車製作部門が自動車事業の始まりとなる。

 トヨタ紡織の歴史は紆余曲折を経ている。豊田紡織は42年に紡織会社5社合併でその名前が消える。合併後の会社も、翌年にトヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)に吸収された。しかし、50年にトヨタ自工から分離、67年には豊田紡織の社名が復活している。そして2004年、アラコ、タカニチとの合併を機に、トヨタ紡織となった。

 その他、電子部品などを手掛ける日東電工、ベアリング(軸受)のNTN、化学製品の三菱ガス化学やトクヤマなども100周年となる。

 帝国データバンクによると、繊維素材などを開発、製造する帝人や、文具メーカーのパイロットコーポレーション、火災報知器のホーチキ、時計メーカーのシチズン時計なども1918年創業だ。

 また、象印マホービンは1月9日、創業100周年に関する取り組みについて発表。1918年にガラスマホービンの中びん製造を始めたことが始まりだという。100周年記念ロゴマークや記念Webサイトなどを作成した。

 100周年企業は、製造業が約30%を占める。創業者が築いた技術を守りながら、時代の変化に応じて発展させ、事業規模を拡大させてきた、モノづくりの力がある企業が長い歴史を作っているようだ。

 東京商工リサーチによると、最も古い周年企業(100年単位)は、創業1300周年を迎える旅館「法師」を経営する善吾楼(石川県)だという。また、2018年に業歴100年以上となる老舗企業は全国で3万4394社となる。激動の時代を経て存続している企業が歩んできた道のりから、今後を生き抜くヒントも得られるかもしれない。

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