前述のように車体は小型バスのような箱形の形状で、ドアは自動の両開きとなっている。エンジンがないことから床はフラットになっており、大きな車内空間が確保してある。複数人を乗せたり、自転車やベビーカーと一緒に乗ることも可能だろう。
ライドシェアだけでなく、移動型店舗、屋台(フードトラック)、移動型オフィス、宅配のデリバリー、ホテルなど多くの利用形態が想定されており、利用者の状況に合わせてアレンジすることができる。ちなみにアマゾンやピザハットもパートナーとして参加しており、実証実験なども行われるという。
筆者は「e-Palette Concept」について、2つの理由から非常に画期的であると評価している。1つはオープンシステムを採用しており、複数の自動運転システムの接続を考慮に入れていること。もう1つは、(恐らくだが)サービスでの課金が視野に入っていることである。
このコンセプトカーの制御システムはオープン仕様となっており、外部からシステムを制御するための取り決めであるAPIが公開されている。つまり、どの会社の自動運転システムでもこの車両に接続できるのだ。
自動運転時代においては、自動運転システムの標準を握った企業が大きな利益を上げることはほぼ確実と思われる。だがこの分野は競争が激しく、自動車メーカー各社に加え、米GoogleなどIT企業も参入している。しかも、サービスの性質上、ごく限られた企業がほとんどのシェアを握る形になりやすい。
トヨタも自動運転システムの開発には全力を挙げているだろうが、同社の力量をもってしても、確実にこの分野で覇権を握れるとは限らない。今回、発表されたコンセプトカーは仮に自動運転システムがどの企業のものであっても対応できる点で非常に現実的である。
仮に米Amazon.comが自動運転システムを開発したとしても、トヨタは何の問題もなくこのクルマをAmazon.comに提供できる。ライバルの自動車メーカーですらOEM(他社ブランドの製品を製造すること)のような形で提供することも可能だろう。トヨタは車両の利用やメンテナンスで課金すればよいので、大きな問題は生じない。
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