不動産各社が、東京都心部で新形態のオフィス事業に注力している。東京建物や三井不動産は、東京駅に隣接する八重洲エリアなどでシェアオフィスを展開。東急不動産は会員制のサテライトオフィスに注力するほか、新日鉄興和不動産(東京都港区)は中規模型の高級オフィスビル事業に参入した。背景には、大企業とベンチャーとの連携や、時間・場所に制約されない「テレワーク」の拡大などがある。各社は多様なオフィス空間を提案し、企業のニーズに対応する。
東京建物は、新宿センタービル(地上54階建て)の49階部分に会員制シェアオフィス「+OURS(プラスアワーズ)」を開設した。最大16人用の家具付きオフィスや、自由な席に座って仕事をする「フリーアドレス制」のオープンラウンジを用意したほか、富士山や都心部の夜景を楽しむことができる。
同社は17年にシェアオフィス事業に参入し、第1号店を八重洲にオープンした。東京駅周辺には、多くの重厚長大型企業が本社を構えている。ベンチャーと手を携えながら技術革新を加速させる動きが予測され、「集まってくる起業家の受け皿を整備しておくことが必要だ」(ビル事業企画グループの谷口誠氏)と考えた。
新宿にも大企業の本社が多く、LINEに代表されるように著名なベンチャーも少なくない。同社は今後、起業家を呼び込むためにセミナーやイベントを順次実施し、新宿センタービルを拠点に大企業とベンチャーによる相乗効果を生み出す構想だ。
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