こうした状況においてクリーニング店にはどのような展開があり得るのだろうか。1つ考えられるのはECサイトと連携した業務用クリーニングと、もう1つは高付加価値型クリーニングである。
業務用クリーニングついては、アパレル業界がネット通販の台頭で激変期を迎えていることでチャンスが生まれている。
米Amazon.comは、無料で試着ができたり、AI(人工知能)が似合う洋服をアドバイスする新しいサービスをスタートさせている。日本でも「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイが、自動的にサイズを測定する採寸スーツの無料配布を開始するなど、店舗に依存しない画期的なサービスが次々に登場している。
ネット企業によるこれらのサービスは月額利用料制と相性がよく、月額固定料金でシーズンごとに自分に合った洋服が送られてくるサービスも期待される。
理屈の上では、新品のみならず、返品された新古品、さらに古着まで、あらゆるカテゴリーの洋服が同じプラットフォーム上で行き来することになり、洋服を巡る巨大なシェアリング経済圏が出没する。そうなってくると“大量の業務用クリーニング需要”が発生するため、既存のクリーニング業界はこの部分にシフトする選択肢があり得る。
また、洋服が購入するものから利用するものへとシフトするならば、高級ブランドを手軽に着る機会も増える。店舗型のクリーニング店は、高級ブランド向けの専門クリーニング店に衣替えすることになるだろう。ブランド品などにフォーカスし、顧客の家までクリーニングする衣類を取りに行くスタイルが標準化しているかもしれない。
クリーニング店の今後の展開に期待したい。
仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。
野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。
著書に「AI時代に生き残る企業、淘汰される企業」(宝島社)、「お金持ちはなぜ「教養」を必死に学ぶのか」(朝日新聞出版)、「お金持ちの教科書」(CCCメディアハウス)、「億万長者の情報整理術」(朝日新聞出版)などがある。
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