苦戦が予想される「ダイエットコーク」に、立ちはだかる過去の壁来週話題になるハナシ(4/5 ページ)

» 2018年01月25日 07時38分 公開
[藤井薫ITmedia]

「ダイエット」という表現は流行遅れ

 もうひとつ気になるのが、ダイエットコークの商品名にも使われている、「ダイエット」という言葉だ。この「ダイエット」という表現は、もはや流行遅れになっている。なぜなら、ちまたではダイエット商品とわざわざ説明しなくても、低カロリーなドリンクの選択肢が広がっているからだ。

 ダイエットコークがリニューアルする理由は、そうした低カロリードリンクの存在もあるようだ。

 低カロリーなドリンクといえば、まずウオーターが挙げられる。00年以降、ボトルウオーターの人気は急上昇しており、16年には米国で初めてボトルウオーターの摂取量が炭酸飲料を抜いたと話題になった。

 水といっても、バリエーションは豊富だ。ミネラルウオーターや水道水をろ過したピュアウオーター、フルーツなどの香料を加えたフレーバーウオーターや炭酸水、さらに栄養素を加えたビタミンウオーターなどもある。

 中でも最も旬なのは、フレーバー入り炭酸水だ。フレーバー入り炭酸水の市場は、年率10%以上で成長していて活気にあふれている。例えばこのカテゴリーで、米国トップシェアを誇るブランドの「Sparkling Ice」は、10年に1000万ドルだった売り上げが、わずか6年で6億6700万ドルになるほどの勢いだ。

Sparkling Iceの売り上げが伸びている

 こうした背景を反映してなのか、ダイエットコークの新しいパッケージもどことなく近年人気急上昇中の炭酸水のパッケージに趣が似ている。

 新しいパッケージを手がけたのは、コカ・コーラ社が起用した26歳の若手デザイナー。トレンドのツボを押さえたデザインは、フレーバー炭酸水を意識したものだろうと考えていい。

 砂糖を多く使用している炭酸飲料に代わるドリンクとして、低カロリーのダイエットコークは、健康に気をつかう女性を中心に支持されてきた。時代は流れ、現代ではダイエットコークの立ち位置が分かりにくくなっている。

 酷な言い方をすると、健康志向の高い若い世代は、そもそもダイエットコークを必要としていない。また、人工甘味料を使用しているダイエットコークよりも、砂糖を使用したレギュラーコーラのほうが味を楽しめる。しかもカロリーを気にするなら、炭酸水をはじめ他の選択肢が山ほどある。

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